続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『1-2-3』犬から出る水蒸気②

2019-09-20 07:11:21 | 美術ノート

 犬から出る蒸気、つまり呼吸であり、エネルギーの発散である。そして《生きていることの証明》でもある。

 それらの蒸気は水を含んだ気体であれば、すぐに周囲の空気に同化してしまう現象である。刹那的に、しかし持続する現象は決して同じ形を取らない。

 犬(生命体)の必須条件である炭酸ガス等の排出は、空気(酸素)を吸うと同時に炭酸ガスを出す装置でさえあるが、その関係の報告(質量としての具象化)は見たことがない。なぜなら数値に記録できず、なにより可視化がないからである。

 犬(生命体)から出る蒸気を凝視し観察するという試みである。
 吹き上げるUPの力(生命の持つエネルギー)、引き下ろすDownの力(重力)の均衡。
 不均衡である、ゆえにエネルギーを消費する仕組みが犬(生命体)には備わっており、重力に拮抗するエネルギー(蒸気)が必須なのである。

 エネルギーの消失(死)は、総てを地に還元させるかもしれないが、《犬から出る蒸気》は、《生きて在る必須条件》であり、《生の証明》でもある。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『セロ弾きのゴーシュ』104.

2019-09-20 06:42:58 | 宮沢賢治

「ゴーシュ君、よかったぞお。あんな曲だけれどもこゝではみんなかなり本気になって聞いてたぞ。一週間か十日の間にずゐぶん仕上げたなあ。十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ。やらうと思へばいつでもやれたぢゃないか。君。」
 仲間もみんな立って来て「よかったぜ」とゴーシュに云ひました。


☆訓(おしえみちびくこと)を極(きわめる)。
 翻(形を変えてうつす)記の文は逸(隠れており)終りまで換(入れ替える)。
 詞(言葉)は常に等(平等)を化(教え導く)。
 全ての釈(意味を解き明かす)謀(計画)は蔽(見えないようにしている)。
 他意の詞(言葉)がある。
 訓(教え導くこと)を注(書き記すこと)を兼ねた律(決まり)の記を運(めぐらせている)。


『城』3267。

2019-09-20 06:32:37 | カフカ覚書

 遠くのほうからひとりの従僕が、書類をつんだ小さな車をゆっくりと押してきた。もうひとりの従僕が、そばについていて、手に一枚の表をもっていた。あきらかにドアの番号と書類の番号とを突き合わせているらしかった。


☆遠くの方から先祖の氏族である従僕(死者)が、記録類を小さなはかりに乗せてやって来た。先祖を言及する死者がそれを持ってきた。手に先祖の名簿を持ち、今や企て(?)となったあの記録とを明らかに照らし合わせているらしかった。