中に犬、と指定された物体。手足が省略されている。確かに手足は飛行において不要であるが、ばねとして身体に機能するが、飛ぶ際には手足は身体と一つになるということなのか。
飛び方・・・抵抗を最小限に抑えるだけでは浮上しない。(重力圏では)重力に抗し、空中で前進するエネルギーが必須となるが、風や浮力では重さを持った犬の場合、飛ぶことは難しい。飛ばされるのではなく、飛び方とは自ら飛ぶ意思を以て飛ぶ意であれば、生命力に潜むエネルギーを空中に費やすことであり、消費することである。
つまりその生命体のエネルギーが、空気を振動させることで、犬は空中の空気を圧し破っていく。
静止画像のような瞬時の空気の振動・・・犬の呼吸(熱気)は気泡となって上昇し、身体を浮上(持ちあげる)させるエネルギーは細分化して見ると明らかに均等を欠く。
『犬の飛び方』、犬(生命体)の形状を推して測った三本の支えの差異の所以であり、犬(生命体)の移動(飛び方=空中移動)を分析し、可視状態に刻んだ図である。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館