『レディ・メイドの花束』
山高帽を被った男の後ろ姿にボッティチェルリ《春》のなかの女神フローラが描かれている。
手前というか背景には光差す森林、そして石造りのフェンスがある。
向こうには見知らぬ世界が在り、それを見ていると思われる後ろ姿、しかしそれを誰にも知られてはならない。この後ろ姿こそ、自分の安らぎの領域なのだ。
秘密…『複製禁止』に通じる作品である。
わたくしは、前(社会)に背を向けている。わたしにとっての前は逝くことの叶わない世界であり、亡母の住む場所である。「おかあさん」それは女神とも憧憬ともいえる、イメージとしての女人です。
誰にも言えない秘密を抱いて生きている。
だから、何人にも詮索を許さないし、誰にもこの領域に踏み込んでいただきたくない!
わたくしの密やかな安息を誰にも覗かれたくありません。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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