続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

D『折れた腕の前に』2。

2021-08-16 06:44:16 | 美術ノート

 折れた腕の前に雪かきシャベルがあっても、この関係は無効である。雪かきシャベルの前に折れた腕の人は不在であるが、腕は使用不可であることが前提であれば雪かきシャベルは意味を失ってしまう。

 単体では成り立たない関係性、合体することで初めて機能する。
 折れた腕という不具合、では雪かきシャベルは完品だろうか、写真で見る限りレディメイドであれば不具合はないように思うけれど、中心にあるべき棒の位置がずれている、これでは力が均等に入らず使用後すぐに壊れてしまうのではないか。持ち手も小さすぎるし棒も角柱であるより丸のほうが強度がある。
 折れた腕の前で使用されることのない雪かきシャベルであれば不都合はないが、使用すれば即使用不可になる雪かきシャベルである。

 この得も言われぬ虚脱感、空虚。ここには無の風が吹いている。


 写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿