学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表
11月2日、NYダウは、原油相場が値下がりを続けたにも
かかわらず、米国の11月の小売り高が予想を下回ったことを
むしろ嫌気して、21ポイント下げ、10,568ドルで取引きを終了した。
NY原油先物相場(WTI)はバレル2.24ドル下げ43.25ドルで取引きを
終了した。一時バレル42.50ドルまで下げた。ロンドン市場でも
ブレント先物相場がバレル2.81ドル下げ、39.50ドルで取引を
終了した。
米国の原油在庫増を材料に弱気を流している。相場が下げに
転じると今年は暖冬になると追い討ちをかける。突然寒波が
来ればおそらく手の平をかえして強気を言い張るであろう。
NYダウは、ウオルマートの11月販売の弱気予測を嫌気して
週明け値下がりした。ところが翌日、原油相場が大幅下落を
歓迎して大幅値上りした。
それが昨日は原油相場が大幅値下がりしたにもかかわらず、
小売り不振を材料にして値下がりした。まるで「日替わり銘柄」
のように、自信なげにふらふらしている。
ドル相場は、対ユーロで1ユーロ=1.3379ドル、対円で
101.88円まで下げたが、後戻してそれぞれ1ユーロ=1.3277ドル
1ドル=103.02円で取引を終了した。
欧州、日本によるドル買い介入警戒感が相場を押し戻したと
為替専門家は話している。しかし、彼らも本心では為替介入が
巨額の双子の赤字を抱えた今の米ドルの置かれた環境を
変えられないことは分かった上で話している。
米国の経済指標では、10月の米機械受注高が前月比0.5%増と
エコノミストの予測0.2%増を上回った。これはドルにプラス材料だ。
しかし、米労働省は、11月27日締めの失業保健申請件数が
25,000件増え349,000件と発表した。これはドル売り材料だ。
ドル売りに多少ともブレーキをかけられるとすればそれは米国の
利上げである。12月のFOMC〔公開市場委員会〕でFRBが0.25%
再利上げして年2.25%を予測する向きは多い。
ドルは対ユーロで、わずか2ケ月で10%以上値下がりした。
昨日、米国防総省が、在欧米軍の生活費補填のため
として31%予算を増やしたと発表したが米国人としては
身につまされる話であろう。
欧州での米国の旅行客もドル安の悲哀をしみじみ味わっているに
違いない。100ドルが100ユーロだったのが現在は133ドル出さないと
100ユーロのホテルに泊まれないからだ。
お金はからだで言えば血液のようなものだ。さらさらの血液が
血管の中をスムーズに流れてはじめて健康を維持できる。
しかし今の米国のようにどろどろの血液がからだの中を流れていると
どうしても米国経済の健康がおかしくなるであろう。
ブッシュ政権になりテロ対策とイラク戦費にせっせとお金を
注ぎ込んだ。財政赤字が増えて自然である。米国は1日あたり
18億ドル海外から資金が入らないと財政はバランスしない。
日本はじめアジアの中央銀行だけで米財務証券中心に
米資産を1.8兆ドル買って、つまり血液で言えば海外からの
輸血で、米国の財政がなんとか米国の財政が成り立っているに
過ぎない。
今年10月の米国民の税引き後所得の0.2%が貯蓄に回された
そうだが、米国人が大量に世界の製品を買い続けてくれた結果が
巨額の貿易赤字である。中国からの輸入は米国全体の輸入の
13%を占めた。中国に対する為替政策変更要請も自然である。
NYダウは、たまに走ってもすぐ息切れする。ドル相場も同じである。
株価も通貨も国の健康、血液の状態のバロメーターであるからだろう。
いずれ血液(お金)がよどみなく米国へ流れていけばドル相場も
NY株も値上りするであろう。
米国が病気になればせっかく立ち直り始めた世界景気
の芽を摘んでしまう。欧州、日本、そして中国も一緒になって
米国の経済破綻を智慧を絞りみんなが我慢しながらどうしても
回避しなければならないであろう。
米国は、ここしばらくは、海外からの資金(輸血)を
受けつつ、徐々に海外からの食事〔輸入〕を減らしながら、
健康を維持する道を選ぶであろう。世界全体にとって、
当面のドル安は、米国という巨大な市場が健康を取り
戻す過程での苦い薬かもしれない。
相場の世界では申酉騒ぐというそうだ。申年の2004年は
終わる。酉年の2005年はなおひと波乱ふた波乱あっても
おかしくない。OECDも世界景気の回復は2006年からと
先日も発表した。
2005年は正念場の年になりそうだ。(了)
11月2日、NYダウは、原油相場が値下がりを続けたにも
かかわらず、米国の11月の小売り高が予想を下回ったことを
むしろ嫌気して、21ポイント下げ、10,568ドルで取引きを終了した。
NY原油先物相場(WTI)はバレル2.24ドル下げ43.25ドルで取引きを
終了した。一時バレル42.50ドルまで下げた。ロンドン市場でも
ブレント先物相場がバレル2.81ドル下げ、39.50ドルで取引を
終了した。
米国の原油在庫増を材料に弱気を流している。相場が下げに
転じると今年は暖冬になると追い討ちをかける。突然寒波が
来ればおそらく手の平をかえして強気を言い張るであろう。
NYダウは、ウオルマートの11月販売の弱気予測を嫌気して
週明け値下がりした。ところが翌日、原油相場が大幅下落を
歓迎して大幅値上りした。
それが昨日は原油相場が大幅値下がりしたにもかかわらず、
小売り不振を材料にして値下がりした。まるで「日替わり銘柄」
のように、自信なげにふらふらしている。
ドル相場は、対ユーロで1ユーロ=1.3379ドル、対円で
101.88円まで下げたが、後戻してそれぞれ1ユーロ=1.3277ドル
1ドル=103.02円で取引を終了した。
欧州、日本によるドル買い介入警戒感が相場を押し戻したと
為替専門家は話している。しかし、彼らも本心では為替介入が
巨額の双子の赤字を抱えた今の米ドルの置かれた環境を
変えられないことは分かった上で話している。
米国の経済指標では、10月の米機械受注高が前月比0.5%増と
エコノミストの予測0.2%増を上回った。これはドルにプラス材料だ。
しかし、米労働省は、11月27日締めの失業保健申請件数が
25,000件増え349,000件と発表した。これはドル売り材料だ。
ドル売りに多少ともブレーキをかけられるとすればそれは米国の
利上げである。12月のFOMC〔公開市場委員会〕でFRBが0.25%
再利上げして年2.25%を予測する向きは多い。
ドルは対ユーロで、わずか2ケ月で10%以上値下がりした。
昨日、米国防総省が、在欧米軍の生活費補填のため
として31%予算を増やしたと発表したが米国人としては
身につまされる話であろう。
欧州での米国の旅行客もドル安の悲哀をしみじみ味わっているに
違いない。100ドルが100ユーロだったのが現在は133ドル出さないと
100ユーロのホテルに泊まれないからだ。
お金はからだで言えば血液のようなものだ。さらさらの血液が
血管の中をスムーズに流れてはじめて健康を維持できる。
しかし今の米国のようにどろどろの血液がからだの中を流れていると
どうしても米国経済の健康がおかしくなるであろう。
ブッシュ政権になりテロ対策とイラク戦費にせっせとお金を
注ぎ込んだ。財政赤字が増えて自然である。米国は1日あたり
18億ドル海外から資金が入らないと財政はバランスしない。
日本はじめアジアの中央銀行だけで米財務証券中心に
米資産を1.8兆ドル買って、つまり血液で言えば海外からの
輸血で、米国の財政がなんとか米国の財政が成り立っているに
過ぎない。
今年10月の米国民の税引き後所得の0.2%が貯蓄に回された
そうだが、米国人が大量に世界の製品を買い続けてくれた結果が
巨額の貿易赤字である。中国からの輸入は米国全体の輸入の
13%を占めた。中国に対する為替政策変更要請も自然である。
NYダウは、たまに走ってもすぐ息切れする。ドル相場も同じである。
株価も通貨も国の健康、血液の状態のバロメーターであるからだろう。
いずれ血液(お金)がよどみなく米国へ流れていけばドル相場も
NY株も値上りするであろう。
米国が病気になればせっかく立ち直り始めた世界景気
の芽を摘んでしまう。欧州、日本、そして中国も一緒になって
米国の経済破綻を智慧を絞りみんなが我慢しながらどうしても
回避しなければならないであろう。
米国は、ここしばらくは、海外からの資金(輸血)を
受けつつ、徐々に海外からの食事〔輸入〕を減らしながら、
健康を維持する道を選ぶであろう。世界全体にとって、
当面のドル安は、米国という巨大な市場が健康を取り
戻す過程での苦い薬かもしれない。
相場の世界では申酉騒ぐというそうだ。申年の2004年は
終わる。酉年の2005年はなおひと波乱ふた波乱あっても
おかしくない。OECDも世界景気の回復は2006年からと
先日も発表した。
2005年は正念場の年になりそうだ。(了)