学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表
相場はそれに携わる人の心の鏡である。
相場の動きを見ているとその時々の人々の心の残像が
写し出されていて誠に興味深い。
OPEC(石油輸出国機構)が、エジプトカイロに集まり
年明け早々にも日量100万バレルの減産を実施すると
発表した。
原油相場は、10月につけたバレル55ドルを越える暴騰のあと
41ドルまで急落した。これ以上の値下がりはなんとしても
避けたいとの彼らの気持ちが減産合意へ向けてめずらしく
結束を固めさせたようだ。
11ケ国で構成するOPEC加盟国が減産に合意した
(イラクは減産協定に参加していない)。2005年2月から
OPEC生産の上限枠を日量2,700万バレルまで下げて
再スタートする。
IEA(エネルギー機構)の調べによれば、OPECは現在
日量3,000万バレルまで増産していた。公式の上限生産量は
2,800万バレルだから実質200万バレル近く増産していた
ことになる。
IEAは同じ日、イラクの11月の原油生産が前月対比日量
43万バレル減産となり180万バレルへ急減したと発表した。
イラクは減産協定には参加していないがパイプライン爆破が
続いており物流が思うように進んでいないようだ。
イラクは10月、日量175万バレル輸出したが、11月は
135万バレルへ輸出が減ったとIEAは発表した。
石油専門家の話によれば、OPECは何もしないで越年する
とさらなる相場下落に見まわれる。さりとて生産上限枠を
削減すると供給不安を煽り再び原油相場を急反発させる
リスクをかかえていた。
2700万バレルへ生産の上限枠を落すことによって上記
2つのリスクを回避出来るだろうと原油関係者は話している。
今回の原油相場急騰の一つの背景にはドル安が進み
ドル建て資産の目減りを少しでも回避したいとするOPECの
深刻な不安が隠されていたと見られる。
ドルは対ユーロで、ここ2年で35%も値下がりした。イラク戦争の
引き金の一つにイラクのフセイン元大統領が原油支払い通貨を
ドルからユーロへの切り替えを決断したことでアメリカを激怒
させたという話がまことしやかに伝えられる。
アメリカ人は日本人のようにこせこせ気にしない性格の
人が多い。しかし一端アメリカ人を怒らせると簡単に戦争にまでも
エスカレートさっせるところがある。
アメリカ人は足元を蚊が刺している程度ではぴくりとも動かない。
ところが、ひとたび咽元を食いちぎられそうになると、なりふり
構わず挑みかかってくるところがある。
あの9:11事件もそうだ。9:11攻撃でアメリカ人の心が一つに
なったという人が多い。パールハーバーも似たところがある。
話を為替に戻す。12月10日のNY為替相場で、ドルはここ3日
連続で値上りし、対ユーロでは9週間振りの高値をつけた。
ユーロは対ドルで、ここ1週間で1.7%値下がりしたドルは対円で
3%値上りした。対スイスフランで2.6%値上りした。英国ポンドは
対ドルで1.5%値下がりした。
ただこれで潮の目が変わったのかというと為替関係者の見方は
悲観的だ。12月10日の相場に投資家の心のひだまで垣間見せて
くれたから面白い。本気でドルの戻りを信用していないからだろう。
ユーロは前日の1ユーロ=1.3320ドルから一端1ユーロ=1.3141ドル
まで急落した。ふと我にかえったのであろう。すぐあと1ユーロ=1.3220ドル
へ戻して取引を終了した。
ドルは、対円でも似た動きをした。前日の1ドル=104.53円から
一端1ドル=106.19円まで突っかけたが、Wrong way(反対車線)
に入り込んだとでもおもったのか、1円近く下げたところで、
一転105.15円で取引を終了した。
原油相場はバレル40ドルをつっかけたところで「行司待った」が
入った。ドルは対円で1ドル=106円で一時停止。踝を返して
1ドル=105円へ戻した。
原油相場も為替相場もそれなりに居心地のいい場所を
探しているのであろう。
2005年が地球に住む63億人ひとひとりの普通の人間にとっても
居心地のいい年になって欲しい。(了)
相場はそれに携わる人の心の鏡である。
相場の動きを見ているとその時々の人々の心の残像が
写し出されていて誠に興味深い。
OPEC(石油輸出国機構)が、エジプトカイロに集まり
年明け早々にも日量100万バレルの減産を実施すると
発表した。
原油相場は、10月につけたバレル55ドルを越える暴騰のあと
41ドルまで急落した。これ以上の値下がりはなんとしても
避けたいとの彼らの気持ちが減産合意へ向けてめずらしく
結束を固めさせたようだ。
11ケ国で構成するOPEC加盟国が減産に合意した
(イラクは減産協定に参加していない)。2005年2月から
OPEC生産の上限枠を日量2,700万バレルまで下げて
再スタートする。
IEA(エネルギー機構)の調べによれば、OPECは現在
日量3,000万バレルまで増産していた。公式の上限生産量は
2,800万バレルだから実質200万バレル近く増産していた
ことになる。
IEAは同じ日、イラクの11月の原油生産が前月対比日量
43万バレル減産となり180万バレルへ急減したと発表した。
イラクは減産協定には参加していないがパイプライン爆破が
続いており物流が思うように進んでいないようだ。
イラクは10月、日量175万バレル輸出したが、11月は
135万バレルへ輸出が減ったとIEAは発表した。
石油専門家の話によれば、OPECは何もしないで越年する
とさらなる相場下落に見まわれる。さりとて生産上限枠を
削減すると供給不安を煽り再び原油相場を急反発させる
リスクをかかえていた。
2700万バレルへ生産の上限枠を落すことによって上記
2つのリスクを回避出来るだろうと原油関係者は話している。
今回の原油相場急騰の一つの背景にはドル安が進み
ドル建て資産の目減りを少しでも回避したいとするOPECの
深刻な不安が隠されていたと見られる。
ドルは対ユーロで、ここ2年で35%も値下がりした。イラク戦争の
引き金の一つにイラクのフセイン元大統領が原油支払い通貨を
ドルからユーロへの切り替えを決断したことでアメリカを激怒
させたという話がまことしやかに伝えられる。
アメリカ人は日本人のようにこせこせ気にしない性格の
人が多い。しかし一端アメリカ人を怒らせると簡単に戦争にまでも
エスカレートさっせるところがある。
アメリカ人は足元を蚊が刺している程度ではぴくりとも動かない。
ところが、ひとたび咽元を食いちぎられそうになると、なりふり
構わず挑みかかってくるところがある。
あの9:11事件もそうだ。9:11攻撃でアメリカ人の心が一つに
なったという人が多い。パールハーバーも似たところがある。
話を為替に戻す。12月10日のNY為替相場で、ドルはここ3日
連続で値上りし、対ユーロでは9週間振りの高値をつけた。
ユーロは対ドルで、ここ1週間で1.7%値下がりしたドルは対円で
3%値上りした。対スイスフランで2.6%値上りした。英国ポンドは
対ドルで1.5%値下がりした。
ただこれで潮の目が変わったのかというと為替関係者の見方は
悲観的だ。12月10日の相場に投資家の心のひだまで垣間見せて
くれたから面白い。本気でドルの戻りを信用していないからだろう。
ユーロは前日の1ユーロ=1.3320ドルから一端1ユーロ=1.3141ドル
まで急落した。ふと我にかえったのであろう。すぐあと1ユーロ=1.3220ドル
へ戻して取引を終了した。
ドルは、対円でも似た動きをした。前日の1ドル=104.53円から
一端1ドル=106.19円まで突っかけたが、Wrong way(反対車線)
に入り込んだとでもおもったのか、1円近く下げたところで、
一転105.15円で取引を終了した。
原油相場はバレル40ドルをつっかけたところで「行司待った」が
入った。ドルは対円で1ドル=106円で一時停止。踝を返して
1ドル=105円へ戻した。
原油相場も為替相場もそれなりに居心地のいい場所を
探しているのであろう。
2005年が地球に住む63億人ひとひとりの普通の人間にとっても
居心地のいい年になって欲しい。(了)