(学校で教えてくれない経済学)
通貨ユーロが、14日のNY外国為替市場で、対ドルで1月来最安値1ユーロ=1.2980ドルで取引を終えた。ユーロは対円でも売られ、1ユーロ=101.30円まで値下がりした。ドイツ、メルケル首相は、14日、ドイツ連邦議会で演説、ユーロ共通債発行は解決策にならないことを繰り返し、ユーロ救済策上限5,000億ユーロ撤廃に反対した。一方、イタリア、モンティ首相はユーロ共通債発行でEU合意が必要だと強調した。これを受けて、欧州株価は軒並み下落、NYダウも下げ、前日比131ドル安、11,823ドルで取引を終了したと日本時間15日朝配信のWSJ紙電子版は書いた。
15日朝の「モーニングサテライト」に出演したマキシムグループ、久野誠太郎氏は「通貨ユーロ安から原油売り圧力がかかり、NY原油【WTI】先物相場は、バレル5.19ドル安、94.95ドルへ急落した。OPEC総会で新たな生産枠を日量3,000万バレルとすることが承認され、過剰生産懸念が一段と高まった」などと解説していた。NY金相場も売られ、トロイオンス75.60ドル安、1,584.30ドルと様変わりの様相となった。
一方、NY債券市場では、イタリア国債が売られ、利回りは再び「危険水域」とされる年7%を突破した。一方、安全資産とされた米10年物国債が買われ、10年物利回りは1.904%%へ低下した。15日朝7時台放送の「ワ―ルドWaveMorning」に出演した三井住友銀行、森谷亨氏は「格付け会社によるユーロ国発行国債の格下げ懸念、13日、米FOMCが具体的な金融緩和策を打ち出さなかったことからリスク回避の動きが強まり、原油、金が5%以上下げ、銀相場は9%安のオンス30ドル割れなど商品相場が一気に崩れた」などと解説していた。
日本時間14日夜配信のWSJ紙電子版にTomLauricella記者は、通貨ユーロ安を取り上げ、「ECB(欧州中央銀行)が追加利下げを迫られる可能性が高いことからユーロ通貨への売り圧力が強まる。EU政府が財政赤字危機解決に積極的に取り組めば取り組むほど、利下げ要請が強まる。さらにヨーロッパ経済は来年以降不況色を強めてくる。特に欧州金融機関がバランスシート改善を迫れることにより、銀行の貸し渋りが強まりそれがまた景気回復の足を引っ張る」などと書いていた。BaeclaysCapital,北米外国為替ストラテジィ・ヘッド、JoseWynn氏は「ユーロの急落は、来年6月の1ユーロ=1.25ドル、年度末の1ユーロ=1.20ドルのステージを用意した」と語ったと紹介した。
IMFは、12月13日、ギリシャ経済は2012年さらに悪化するとの見通しを発表した。景気悪化に伴う税収減と社会福祉関係費用の増加により、ギリシャ財政赤字は、今年の対GDPの8.5%から同9.0% へ増加する。EU理事会、HermanVanRompuy氏は「EUサミット合意に英国のみが反対したことが事態を一層複雑化させた。問題解決は簡単でない」と語ったとWSJ紙のTomLauricella記者は書いていた。
一方、近着のニューズウイーク日本版にある「ユーロ危機と戦うメルケルの孤独」と題するロジャー・ボイズ(英タイムズ紙外交担当エディター)の記事は「メルケル・ガイド」として面白い読み物となっていた。野党社会民主党(SPD)のフランクワルター・シュタインマイヤー外相は「メルケルの法則」に言及する。「メルケルが何かの政策に強く反対すればするほど、最終的にはその政策を採用する確率が高まる」と話したと書いていた。
ボイズ氏は「メルケルは、混乱と無秩序を嫌うドイツ人の国民性から、最終的には有権者は統合維持を支持するに違いないと踏んでいるように見える」と書いた。同記事は「最近のメルケルはほとんど眠っておらず、しきりに爪を噛み、絶えず携帯メールを送っている。そこにはヨーロッパ救済という、とてつもない重荷を背負った孤独なリ―ダ―の姿がある」と結んでいた。日本の政治家にメルケル首相の爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。(了)
通貨ユーロが、14日のNY外国為替市場で、対ドルで1月来最安値1ユーロ=1.2980ドルで取引を終えた。ユーロは対円でも売られ、1ユーロ=101.30円まで値下がりした。ドイツ、メルケル首相は、14日、ドイツ連邦議会で演説、ユーロ共通債発行は解決策にならないことを繰り返し、ユーロ救済策上限5,000億ユーロ撤廃に反対した。一方、イタリア、モンティ首相はユーロ共通債発行でEU合意が必要だと強調した。これを受けて、欧州株価は軒並み下落、NYダウも下げ、前日比131ドル安、11,823ドルで取引を終了したと日本時間15日朝配信のWSJ紙電子版は書いた。
15日朝の「モーニングサテライト」に出演したマキシムグループ、久野誠太郎氏は「通貨ユーロ安から原油売り圧力がかかり、NY原油【WTI】先物相場は、バレル5.19ドル安、94.95ドルへ急落した。OPEC総会で新たな生産枠を日量3,000万バレルとすることが承認され、過剰生産懸念が一段と高まった」などと解説していた。NY金相場も売られ、トロイオンス75.60ドル安、1,584.30ドルと様変わりの様相となった。
一方、NY債券市場では、イタリア国債が売られ、利回りは再び「危険水域」とされる年7%を突破した。一方、安全資産とされた米10年物国債が買われ、10年物利回りは1.904%%へ低下した。15日朝7時台放送の「ワ―ルドWaveMorning」に出演した三井住友銀行、森谷亨氏は「格付け会社によるユーロ国発行国債の格下げ懸念、13日、米FOMCが具体的な金融緩和策を打ち出さなかったことからリスク回避の動きが強まり、原油、金が5%以上下げ、銀相場は9%安のオンス30ドル割れなど商品相場が一気に崩れた」などと解説していた。
日本時間14日夜配信のWSJ紙電子版にTomLauricella記者は、通貨ユーロ安を取り上げ、「ECB(欧州中央銀行)が追加利下げを迫られる可能性が高いことからユーロ通貨への売り圧力が強まる。EU政府が財政赤字危機解決に積極的に取り組めば取り組むほど、利下げ要請が強まる。さらにヨーロッパ経済は来年以降不況色を強めてくる。特に欧州金融機関がバランスシート改善を迫れることにより、銀行の貸し渋りが強まりそれがまた景気回復の足を引っ張る」などと書いていた。BaeclaysCapital,北米外国為替ストラテジィ・ヘッド、JoseWynn氏は「ユーロの急落は、来年6月の1ユーロ=1.25ドル、年度末の1ユーロ=1.20ドルのステージを用意した」と語ったと紹介した。
IMFは、12月13日、ギリシャ経済は2012年さらに悪化するとの見通しを発表した。景気悪化に伴う税収減と社会福祉関係費用の増加により、ギリシャ財政赤字は、今年の対GDPの8.5%から同9.0% へ増加する。EU理事会、HermanVanRompuy氏は「EUサミット合意に英国のみが反対したことが事態を一層複雑化させた。問題解決は簡単でない」と語ったとWSJ紙のTomLauricella記者は書いていた。
一方、近着のニューズウイーク日本版にある「ユーロ危機と戦うメルケルの孤独」と題するロジャー・ボイズ(英タイムズ紙外交担当エディター)の記事は「メルケル・ガイド」として面白い読み物となっていた。野党社会民主党(SPD)のフランクワルター・シュタインマイヤー外相は「メルケルの法則」に言及する。「メルケルが何かの政策に強く反対すればするほど、最終的にはその政策を採用する確率が高まる」と話したと書いていた。
ボイズ氏は「メルケルは、混乱と無秩序を嫌うドイツ人の国民性から、最終的には有権者は統合維持を支持するに違いないと踏んでいるように見える」と書いた。同記事は「最近のメルケルはほとんど眠っておらず、しきりに爪を噛み、絶えず携帯メールを送っている。そこにはヨーロッパ救済という、とてつもない重荷を背負った孤独なリ―ダ―の姿がある」と結んでいた。日本の政治家にメルケル首相の爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。(了)