(学校で教えてくれない経済学)
EUサミットの最終ドラフトの内容が、8日のNY市場取引終了1時間ほど前にリークされた後、株価、ユーロ相場がともに下落したと、9日朝発行のCNBC Asia Morning Brief電子版は記事冒頭に書いた。8日のNYダウは前日比198ドル安、11,997ドル、NY外国為替市場では、ユーロは1ユーロ=1.33ドル割れ寸前まで売られた。
8日付けのWSJ紙電子版も、EUサミットのドラフトが事前に漏れたことには軽く触れた。記事のポイントはECB(欧州中央銀行)が、政策金利を0.25%下げ,史上最低の年1.0%とする。欧州銀行への貸付返済期限を現行の1年を3年へ拡大を発表した。しかし、市場はユーロ圏発行国債の大量買いを期待していた。期待はずれで失望したと書いていた。
同紙電子版は、続けて、バ―クレイ・キャピタル、外国為替へッド、JoseWynn氏が「欧州景気が来年悪化することから、ユーロ相場は3ケ月先に1ユーロ=1.30ドル、1年先に1.20ドルまで値下がりする。」と語ったと紹介していた。8日のNY外国為替市場のドル/円相場は1ドル=77.63~68円、1ユーロ=103.56~61円だった。仮にドル/円相場が現状のままと仮定しても、ユーロは3ケ月先に1ユーロ=100円、一年先には1ユーロ=93円まで対円で値下がりすることを意味している。
9日朝の「ワールドWaveMorning」もEUサミットが開かれたことを各国が伝える様子を紹介していた。フランスF2は、EU条約改定にイギリス、ルクセンブルグが強く反対している。EU各国間の対立がますます鮮明になっている。IMFのラガルド専務理事は「IMFとしてはやるべきことは沢山あります」と政治的答弁を繰り返した。サルコジ仏大統領は「ヨーロッパは今、分裂の危機にあります。今決めなければ二度目のチャンスはありません」と語った。メルケル、ドイツ首相は「意見の相違は有ります。しかし、必ず乗り越えるでしょう」と言うのが精いっぱいだった。メルケルとサルコジは「するべきだ」と言う。それがEUの考えにそぐわないのです。EUサミットで「ノ―」となればユーロ圏17国のみの合意となりますと解説していた。
その他の「ワールドWaveMorning」では、ミサイル防衛システムを巡ってロシアとアメリカとの対立が鮮鋭化している。ロシア下院選で不正があったとクリントン米国務長官がロシアを非難した。それがプーチン首相を刺激した。アメリカのメデイァCNNがはモスクワでのデモを伝える映像にギリシャでのデモの映像を使ったとロシアRTRが伝えていた。今朝のアルジャジ―ラは、シリアでの反政府デモで13人が死亡したと伝えていた。中国で不動産相場が急落している様子を中国CCTVと香港ATVを伝え、香港ATVは欧米からの資金が逃げ影響がもろに出たと解説していた。
一方、8日のWSJ電子版はユーロ崩壊後各国通貨がどこまで下がるか分析していた。ユーロ分裂を前提とした記事が最近WSJ紙に盛んに出るようになったのは明らかに変化である。英国、ルクセンブルグも独仏案に反対している。しかし、ユーロが崩壊すれば自らも煽りを食う。イギリス景気の足元が揺らいでいる。ユーロ安が進めば英ポンドも巻き込まれるだろう。8日夜の「ワールドWaveToday」の番組でハンガリーから外国資本が逃げ出してハンガリ―通貨が急落、外貨建てローンを組んでいた裏目が出た。借金の返済もまままならないと話すある家庭の様子を紹介していた。ユーロ崩壊は東ヨーロッパにまで深刻な被害をもたらしている証であろう。
EUサミットの最終ドラフトがリークされるという異常事態が発生した。しかし、欧米人のクリスマスへの期待感は日本人には想像できない。EUサミット参加国代表が、クリスマスを家族団らんで迎えたいという気持ちがどこまで強いかでEUサミットの成果が決まるかもしれない。米国の経済指標は悪くない。過度な楽観も危険だが、過度な悲観が一番健康に良くない。健康を失えば全てを失う。「意見の相違はある。しかし、乗り越えることは出来る」と語ったメルケル首相の強い意思に期待したい。(了)
EUサミットの最終ドラフトの内容が、8日のNY市場取引終了1時間ほど前にリークされた後、株価、ユーロ相場がともに下落したと、9日朝発行のCNBC Asia Morning Brief電子版は記事冒頭に書いた。8日のNYダウは前日比198ドル安、11,997ドル、NY外国為替市場では、ユーロは1ユーロ=1.33ドル割れ寸前まで売られた。
8日付けのWSJ紙電子版も、EUサミットのドラフトが事前に漏れたことには軽く触れた。記事のポイントはECB(欧州中央銀行)が、政策金利を0.25%下げ,史上最低の年1.0%とする。欧州銀行への貸付返済期限を現行の1年を3年へ拡大を発表した。しかし、市場はユーロ圏発行国債の大量買いを期待していた。期待はずれで失望したと書いていた。
同紙電子版は、続けて、バ―クレイ・キャピタル、外国為替へッド、JoseWynn氏が「欧州景気が来年悪化することから、ユーロ相場は3ケ月先に1ユーロ=1.30ドル、1年先に1.20ドルまで値下がりする。」と語ったと紹介していた。8日のNY外国為替市場のドル/円相場は1ドル=77.63~68円、1ユーロ=103.56~61円だった。仮にドル/円相場が現状のままと仮定しても、ユーロは3ケ月先に1ユーロ=100円、一年先には1ユーロ=93円まで対円で値下がりすることを意味している。
9日朝の「ワールドWaveMorning」もEUサミットが開かれたことを各国が伝える様子を紹介していた。フランスF2は、EU条約改定にイギリス、ルクセンブルグが強く反対している。EU各国間の対立がますます鮮明になっている。IMFのラガルド専務理事は「IMFとしてはやるべきことは沢山あります」と政治的答弁を繰り返した。サルコジ仏大統領は「ヨーロッパは今、分裂の危機にあります。今決めなければ二度目のチャンスはありません」と語った。メルケル、ドイツ首相は「意見の相違は有ります。しかし、必ず乗り越えるでしょう」と言うのが精いっぱいだった。メルケルとサルコジは「するべきだ」と言う。それがEUの考えにそぐわないのです。EUサミットで「ノ―」となればユーロ圏17国のみの合意となりますと解説していた。
その他の「ワールドWaveMorning」では、ミサイル防衛システムを巡ってロシアとアメリカとの対立が鮮鋭化している。ロシア下院選で不正があったとクリントン米国務長官がロシアを非難した。それがプーチン首相を刺激した。アメリカのメデイァCNNがはモスクワでのデモを伝える映像にギリシャでのデモの映像を使ったとロシアRTRが伝えていた。今朝のアルジャジ―ラは、シリアでの反政府デモで13人が死亡したと伝えていた。中国で不動産相場が急落している様子を中国CCTVと香港ATVを伝え、香港ATVは欧米からの資金が逃げ影響がもろに出たと解説していた。
一方、8日のWSJ電子版はユーロ崩壊後各国通貨がどこまで下がるか分析していた。ユーロ分裂を前提とした記事が最近WSJ紙に盛んに出るようになったのは明らかに変化である。英国、ルクセンブルグも独仏案に反対している。しかし、ユーロが崩壊すれば自らも煽りを食う。イギリス景気の足元が揺らいでいる。ユーロ安が進めば英ポンドも巻き込まれるだろう。8日夜の「ワールドWaveToday」の番組でハンガリーから外国資本が逃げ出してハンガリ―通貨が急落、外貨建てローンを組んでいた裏目が出た。借金の返済もまままならないと話すある家庭の様子を紹介していた。ユーロ崩壊は東ヨーロッパにまで深刻な被害をもたらしている証であろう。
EUサミットの最終ドラフトがリークされるという異常事態が発生した。しかし、欧米人のクリスマスへの期待感は日本人には想像できない。EUサミット参加国代表が、クリスマスを家族団らんで迎えたいという気持ちがどこまで強いかでEUサミットの成果が決まるかもしれない。米国の経済指標は悪くない。過度な楽観も危険だが、過度な悲観が一番健康に良くない。健康を失えば全てを失う。「意見の相違はある。しかし、乗り越えることは出来る」と語ったメルケル首相の強い意思に期待したい。(了)