S病院玄関ホール風景
江嵜企画代表・Ken
「行きがけの駄賃」と言う言葉がある。清算待ちの時間を利用してボールペンを走らせ、いつものS病院玄関ホールをスケッチした。
担当医のI先生に出来上がったスケッチ画のコピーをお渡しすることが習いとなっている。この日、ハガキサイズの筆者のスケッチ画のコピーが額に収められて担当医科カウンターの窓口に飾ってあることに気づいた。
そういえば以前「自分だけで手元に置いておくのはもったいないと思うのでどこかへ飾りたい」とI先生がおっしゃっていたのを思い出した。現実にお目にかかると自分の分身と会ったような気がして早速撮影してチップに収めた。
この日描いたスケッチと先のチップを持参して帰路、JR神戸線住吉駅前にあるコンビニ店に立ち寄った。
さるご婦人が数枚コピーしておられた。暫時待つことになる。いつも「お済みになったら次お願いします」と一言声をかけて待つことにしている。
先客のご婦人にたまたまスケッチを見て貰った。「慣れたタッチですね。」との一言が跳ね返ってきた。こちらが、おやっと思ったような顔をしているなと、見てとったのか「洋画を昔やっていました」と言葉を添えた。
「病院の玄関ホールです。JR灘駅近くにあるあの病院。。」と言いかけると「神鋼病院だったたら名前が「神興」でなくて「神鋼」です。ステンドグラスが素敵な病院ですよね。病院通いはしょっちゅうやっていますので、、、」と言葉を添えた。
「あ、そうです。ご指摘ありがとうございます。」と言って「神興」を「神鋼」に訂正した。A4サイズにコピーしたものをご婦人に渡した。
先ほどご婦人がコピーしていた資料はある本の数ページだったようだ。「全国100名山を全部回りました。山の中で突然、霧に襲われます。以前に「磁石の話」という本を読んでいたので助かった。これがその本の一部です。」と話を続けた。
ご婦人は「またどこかでお会いすることがあれば。失礼します。」と言って、店を出た。
ほんの数分の出来事だった。こういう出会いも「行きがけの駄賃」と言えるのかどうかは自信はない。ちょっとした立ち話ではあったが、人には不思議な出会いがあるものだと妙に感心した次第である。(了)