スノウドロップ
画・江嵜 健一郎
スノウドロップの花が今年も暦どうりに咲きました。足元にはチューリップが、次は私の番よと控えている。スノウドロップは、地味な花であるが、緑の斑点がかわいらしい。絵心を大いに刺激されて一気にスケッチ、自宅で彩色した。
ヤフーのブログのお世話になってスノウドロップを検索した。2月から3月にかけて開花、6月に茎葉が枯れて休眠する。原産地は東ヨーロッパ。花言葉は「希望」、「慰め」と出ていた。
禁断の果実を食べてエデンの奥の園に追われて悲しむアダムとイブを慰めるために天使が降っていた雪をスノウドロップの花に変えたという聖書のエピソードに由来している。ただ、家の中に持ち込むと不幸を招くとされ,贈り物としては注意が必要とあった。
スケッチしているとフエンスの外に人の気配を感じた。振り返ると、初老のご婦人が、いまや仕舞風呂だが、ミニバラをのぞき込んでおられる。「ひとつ2つ切りましょうか」と言ううと「ありがとうね。うちは庭がないんで。いつもそば通ってんのよ。きれいに手入れされてますね」と外交辞令が飛び出した。
「いえ、いえ、自宅が遠いので、ほったらかしですよ」と答えながら「南天の実もひと房切りましょうか」とフエンス越しに切って渡した。「ありがとう。花瓶に入れてかざるわ。」と言う言葉もそこそこにご婦人は、その場を離れたが、彼女の顔がはじけんばかりに笑っていた。
花を描いているといつも元気をもらえる。通りがかりの人とのちょっとした会話からも結構元気をもらっているのかもしれない。(了)