M社の株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
神戸老舗の菓子メーカーM社の株主総会が4月24日(金)午前10時から神戸ベイシエラトンホテルで開かれ楽しみして出かけた。新型肺炎コロナウイルス感染拡大で非常事態宣言が出た渦中での株主総会である。よくお越し下さいましたと言わんばかりの受付での応対、会場に入ればマスゲームがこれから始まるかと思わせるほぼ2メートル離してイスが用意されていた。あとでわかったがもし入り切らない株主用として別部屋が用意されていた。
お決まりのように冒頭社長さんの挨拶があり「なにかと不行き届きあるやもしれませんがご協力よろしくお願いします」との言葉で始まった。
筆者はなぜ株主総会に出かけるのか。株主の質問に対して社長さんの生の声が聞けるからである。一瞬、間が開いたところで手を挙げたが、既に先着がおられ,この日は二番手だった。
一番手の男性は「利益剰余金がある。配当にまわしてほしい」と切り出した。社長さんは「コロナ感染拡大で非常事態宣言が出たあと相次ぎ仕入先が閉店を決めた。命と健康を守ることと企業存続に全力を集中したい。厳しい決算が予想される。この先何が起こるかしれない事態に備えたい。」とかわした。
二番手に手を上げた筆者は冒頭、様々なリスクを承知の上株主総会を開催されたことに敬意を表したい。」と述べ「御影に住んでいます。阪神御影駅前のバレンタイン公園を見ながら過ごしている。100周年記念を楽しみにしている」と続けた。
「日本では、いま、コロナ、コロナで夜も日も明けぬが、4日前にNY原油相場が大暴落した。マイナス価格をつけるという未曽有の出来事があった。24日朝、NHKニュースはインドネシア航空が6月1日まで国内線、国際線ともに全便運航停止を伝えていた。御社はUAE,シンガポールでの2社など海外展開を活発化していると報告書にもあった。国内も厳しいが海外顧客はどうなっているのか。」と尋ねた。そして「今回のような前例のない事態を船長さんとして日々どのように内外に対応されているのか。国にとっても安全保障は欠かせない。企業にとっても安全保障はおろそかにできない。そのあたりをお聞かせねがいたい」と質問を終えた。
社長さんは「国内では関係220店中100店が閉鎖に追い込まれた。お中元シーズンに入る。どうしたらいいのかと聞かれている。ウイルス感染が拡大する中、正直、見通せない。まずは職員の生活と健康を守る。企業を何が何でも残す。その一点に絞って日々、社内、関係先に直接出向き、情報を精査しながら対応している。海外活動ではシンガポール、UAE店は休業を決めた。香港も同様の措置を予定しているが現時点では大きなダメージに至らないと見ている。」などと答えた。
二度目手を上げた一番手の株主は「御社は百貨店に力を入れすぎではないかとかねてから指摘されていたが、今回のコロナウイルスで間違いだったことが一層はっきりした。どうされるのか」と追いかけた。
社長さんは「三越伊勢丹、大丸松坂屋さんの休業決定はきびしい。百貨店のウエートを減らす取り組みは30年前から始めている。一店舗当たりの売上高向上と効率的運営、新商品開発が確実に成果を上げている。出来たてのおいしさを提供する「窯出しチーズ」は人気商品で「ららぽーと沼津」に見られる。土産商品やインターネット販売にも力をいれている。」と応じた。
株主各位も今回のウイルス禍は一筋縄では収まりきらない。当社の業績に甚大な影響を及ぼすことも十分承知している。
限られた時間であったが社長さんの誠意ある答えをいただいた。何はさておき企業を残すことだと社長さんは言い切られた。100周年を見届ける自信は筆者に全くない。しかし、社長さんの不退転の決意表明を本日の株主総会で耳にすることが出来、感謝しながら帰路に就いた。(了)