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論語と鍼灸 (12) 鍼灸師は憂えず、知者となり、勇者となるのが望ましい

2011-05-17 09:53:48 | 論語と鍼灸
論語と鍼灸 (11) で紹介した于丹先生は、中国に「論語ブーム」を引き起こさせた先生で、監訳をした孔健先生は、孔子七十五代直系の子孫で、す。日本で30年近く活躍している先生です。
于丹先生の『論語力』は、一種独特のものがあり、非常にシンプルでありながら、実践的な論語であり、人生の手引書とするなら『聖書』のような存在であるかも知れない。


今までの論語の本とは一味違い、初めて論語を読む方々や若い方々にも親しんでもらえると思う。
若い人に親しんでもらえるという点では、福田晃市先生の『はじめての論語』や 『超要点解説 人生に生かす!論語』 もお勧めの論語です。
ただ、于丹先生の論語も福田晃市先生の『論語』も、これまで論語を読んできた方々には、少し物足りなさを感じるかもしれない。




于丹先生は、北京師範大学の教授ですので、内容解説や言葉としての表現力も豊かです。
于丹先生のご著書をそのまま転載するわけにはいきませんので、内容を引用させてもらいながら「論語と鍼灸の関係」を探ってみます。

前回は鍼灸師が君子になる方法を私なりに書いてみましたが、孔子はかなり厳しいことも言っています。

【子曰く、君子の道なる者(もの)三つ。我能(よ)くすること無し。仁者(じんじゃ)は憂(うれ)えず、知者は惑わず、勇者は懼(おそ)れず】
(先生が言われた。君子の規範には三つあるが、私はすべてにおいて、そこまで到達していない。つまり、仁徳のある人は悩まないし、聡明な人は迷いがないし、勇敢な人は恐れないものだ、と)

孔子が「私はすべてに君子なる規範に到達していない」というわけです。
厳しいお言葉です。

鍼灸治療をしていると、患者さん言葉にカチンとくる場合もありましたが、これは私の他人に対する思いやりが少なく、寛大さに欠けていたというわけです。
些細なことはこだわらずに無視すればいい、ということです。
それができるようになれば、どのような事態に陥っても落ち着きを失わないはずで、それを「仁者は憂えず」というわけです。

それを解決する方法として、相手(患者さん)の生まれ星を調べる方法があり、その人の生まれ星を知れば、「ああ、この人はこんな生まれの人なんだ」と流すことができます。


私が鍼灸学校へ通っていたころは、ほとんどの人が必死で鍼灸を学んでいたような気がしましたが、最近の鍼灸学生には、その「志」が少ないような気がします。
学校へ行っていたら何とかなると考えている人も多いようで、卒業してから惑う人が多いからで、就職も「厳しくないところ」を探すそうで、就職してからも惑うことが多いそうです。
智恵をつけて、進む方向を選択できる力を養っていれば「惑う」ことはないと孔子は教えています。
知者となり、選択できる力、それが「聡明な人は迷いがない」ということになるわけです。

鍼灸での診断と治療には、常に決断が必要で、難しい疾病の治療決断をするには勇気がいるときもあるのですが、知識や経験があり、心の中に真の勇気を持つ人は、全力投球で治療にかかれるので、治療も上手くいくわけです。

ただ勇気だけで治療をするのは「仁」や「義」に欠けてしまいますので、「憂えず」「知者となり」それから「勇気」を持って治療に臨むのがいいわけです。
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