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論語と鍼灸 (40) あの鍼灸院はなんで流行っているのだろう

2011-06-14 09:25:06 | 論語と鍼灸
【故(ふる)きを温(たず)ねて新(あたら)しきを知る、以(も)って師(し)を為(な)すべし】
(むかしのことを学び、それを参考にして、これからなすべきことを理解するなら、師になれます)


最近出版される『論語』では、「温めて」(あたためて)と読ましており、鍋の中でグツグツと煮たぎるイメージをさせているようですが、「たずねて」のほうに慣れている人が多いと思いましたので、「たずねて」にさせて頂きました。

人物の観察法は何度か書きましたが、佐藤 一斎先生は(1772年11月14日- 1859年10月19日、美濃国岩村藩出身の著名な儒学者)、「人と初めてあったときに得た印象によって、その人を判断するのが最も間違いない正確な人物観察法なり」という人物観察をしていたようです。
最初に会ったときにその人をよく観れば、多くは誤らないというわけです。
2~3度会ってから観察すると、いろんな情報が入ってきたり考え過ぎたりして誤りがでやすいわけですね。

最初に会ったときは、理屈や情が混ざらないので、純粋にその人を観ることができるわけです。
例えばその人が外面や言葉を飾り立てていても、本性が観えることがあります。
たいていは眼に現れるのですが、特に初めての人の眼は観るべきです。
やましい心で近づいてきた人は、笑顔を見せていても、眼に曇りがあるものです。

その場合、その人が安心するのは何か、何に満足して暮らしているかなどを観れば、たいていはわかるものです。
その人が隠そうとしても、心が正しくなければ、必ず表情や言葉も正しくないものになるからです。

しかし、それでもわからないときがあります。
そんなときは(経営に関係する人なら)、その人を調べる必要があります。
『六韜』(りくとう)という中国兵法書に「相手が有能かどうかを見抜く8つの方法」があります。

① 質問してみて、どれだけ詳しく知っているかをみる。
② 糾問してみて、どう切り抜けるかをみる。
③ スパイを使って裏切るようにそそのかしてみて、どれだけ誠実かであるかをみる。
④ 目立たないところで、何をしているかを調査してみる。
⑤ お金を管理させてみて、どれだけ清廉であるかをみる。
⑥ 美女に誘惑させてみて、どれだけしっかりしているかをみる。
⑦ 困難なことを言いつけてみて、どれだけ勇敢であるかをみる。
⑧ 美酒を飲ましてみて、酔ったときの態度をみる。

これらを現代に当てはめて考えてみるわけです。


知人や友人の成功や失敗、には興味があると思います。
鍼灸師なら「流行っている鍼灸院」や「つぶれた鍼灸院」には興味があると思います。
そのストーリーを聞きたいはずです。

古典と現代の違いは、200年前の話なのか、2年前の話なかの違いで、人間の心は同じなのです。
ですから、歴史に出てくる難問解決法を学ぶことは、自分が難問にぶつかったときの参考になるわけです。

開業、運営、或いはスタッフの問題。
或いは、成功した秘訣。
問題や疑問のないところはありません。
それらをスムーズに解決するために「故きを温ねる」のです。

7月31日の臨床実践塾では、一穴鍼法の実技と、成功の秘訣「五美」や「枠組み」について話をするつもりです。
お楽しみください。
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