画・江嵜 健一郎
かれこれ10年近く花の絵は神戸市高齢者美術作品展に出していない。今年はグロリオサを描くことに決めた。グロリオサは例の更地に地植えしているが、毎年6月半ばに花をつける。地植えの花を描くのは理想であるが、それでは作品展に間に合わないので店売りの花でスケッチを始めている。
日本画家の猪熊佳子先生には花の輪郭、茎と花とのつけ根に始まり花びら一枚一枚よく観察して丁寧に描きなさいと厳しく指導を受けている。なにごともそうだろうが横着が最大の敵と思われる。
絵の大きさはまたま手許にF12号のパネルと額があり、それを活かすことにしている。あとは構図である。自宅で絵を縦にしたり横にしたりしているが、座りがよさそうに感じるので縦描きに決めた。花をふんだんに描き込み明るい絵に仕上げたいと思っている。
花を描いていると元気をもらえる。同じ花びらを描いても角度をわずか変えるだけで表情が変わる。グロリオサは花弁一枚一枚が微妙に波打っている。手ごわい相手であることは百も承知である。それこそがグロリオサの花の魅力であり、何度スケッチしていても飽きないのであろう。
ここしばらくは景色や人物を描いて出展していた。花を本画にするのは久しぶりである。2,3日しか花は持たない。その都度、花屋さんへ出けては新しく買い求め、飽きずに何枚も自宅でも描いている。
今回も猪熊佳子先生のご指導を受けての作画となる。どんな絵に仕上げることが出来るか楽しみでならない。(了)