少年時代に雑誌「白樺」を愛読し、そこから強く影響を受けた川端康成は、国宝を含む多数の美術品の収集家としても有名でした。良寛の書、雪舟、光琳、玉堂らの日本画、当時の新進画家の作品、陶器・朝鮮の白磁、ロダンの彫刻、ガラス器・漆器・・・・
おまけ!?の話ですが、志賀直哉のツアイスの顕微鏡(息子のために購入)に影響されたのか?1937年には、35mm版カメラの最高峰、ツアイスのコンタックス?型を入手して写真もたくさん撮っています。
今月号(2007年2月号)の「芸術新潮」の特集は、【おそるべし!川端康成のコレクション】(定価1400円)です。これは実に見ごたえのあるものですので、ぜひ、お近くの本屋さんへどうぞ。
余談ですが、1968年、ノーベル文学賞受賞が決まった日の夜、駆けつけた三島由紀夫と一緒に写っている写真(32ページ)を見ると、川端の「強さ」が際立って見えます。三島は〈表層言語の達人〉に過ぎなかったというのが、私の三島評ですが、底力のないさまが顔に表れています。
武田康弘