人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

不思議なZENTAXI(その6)

2015-03-03 16:30:53 | 創作
私は今神戸に居ます。今と言っても35年前の今ですけど…神戸は東京に次ぐ第二の故郷と勝手に思っていますけど、大阪で働いていた20数年間、ほぼ毎月のように行ってました。特に元町界隈が適当にあか抜けしてて、適当に庶民的で私には丁度いい感じです。
誰かが言ってましたけど、神戸というところは大阪なんかより、東京の文化圏に近いんだとか…こんなところが私が惹かれる理由なんでしょうかね? 関西に居る間ずっと兵庫県人でしたし…住居は殆どが尼崎というところでしたけど…大阪の知人は「あんなとこは電話の市外局番は大阪と一緒やないか!兵庫県なんかとちゃうわい!」と言ってましたが…
そのコーヒーが上手いことで知られる神戸元町でも有名な喫茶店で、あのD会に行ってきたばかりの35年前の私とくつろいでいるところです。
(私も行きたいところだったのですが、あり得ないはずの人間が居る事がバレたら、一人消えてしまわないとならないという事ですので…)
―どうだい、何か収穫でも有ったのかな?
「いやあ…行く前はあの暴風に見舞われたような熱気が冷めやらぬ状態だったものの、期待ばかり大きかったようで…急に冷めるようなことも有ったりしてね…」
―普遍調和の共同体というものは、所詮この世では求むべくもない理想郷なのか?
「いや、それは僕の意識が開かれるか、閉ざされるかで、それに遠のいたり、近づいたりするんじゃないかなあ…」
―ほお…
「一寸気づまりになった気分にさせられたことがあったんだけど…それもM女史と会った事で吹っ飛んでしまったよ!Kさんという人が何かぶしつけな事を聞いてきたので、気分を害して”もう帰ります”と言ったら、最後にM女史が会って下さるということになったんだ」
―Kさんねえ…何か君と因縁が有るのかなあ…何かと君に絡んでくるような言い方をして来るんじゃないか?
「そうなんだ…あのM女史の息子さんらしいけど、全く性格が似てないみたいだ。
―でもね、そういう人が何かの折に、その後の運命を左右するような発言をしたりするものだよ…善くも悪くもね。ところでM女史とのお話はどうだった?
「これが又、何か因縁めいたものをを感じることをお聞きしましたね。僕が道院紅卍字会と関わりが有ると言ったら、戦前この人も中国で関わっていたんだよ!何でも夭折した女史の旦那さん、O師というこれ又大変な求道者が中国で軍部の工作員をやっていた時に会員になっていて、共にフーチの壇(霊示を授かる場)に参じていた時、道名(会員になると授かる名前)を頂いたとか…ところが大らかと言うか…その名を忘れてしまったと言ってたよ(笑)」
―M師、M女史、O師…全く世に知られていないけど、このD会には埋もれた大人が居るんだなあ…
「M女史のような人はこれまで会ったことがない。去年死んだおふくろを除いて、唯一の僕の理解者だという気がしたよ。」
―中々理解されない人間なのだなあ、君は…地下生活者の宿命というか…
「おお、そうだった!忘れていた!オジサンも理解者の一人だった、つーか他人とは思えない…M女史が言っていたけど、オジサンの中にも”天地と一つにならずにゃおれない自分”が居るの?」
―と、突然、なんだ!ウーン、それはだなあ…元々天地と一体の自分が、折あらば表に出ようとしていて、様子をうかがっているんじゃないかな…
いや、こういう話をしている最中から、何やら自分の中からジンジンして来る感じがして来るだろう? 我々を結び合わせている時空を超えたタクシーの運転手も正体を表し始めるゾ!
「えっ、だって見えないんじゃ…」
―そう、でも我々の意識が深まることによって、アリアリとした臨在感をもたらすのだ!
「ああ、ほんとだ!もう何か全託させらてしまいそうだ…」
―一体、これはどういう事になっちまうんだ! ああ、もうダメだ…

・・・・

意識が一瞬飛んでしまったようです…どうやら東京に戻ってしまったようです。勿論、今の…そう、35年経った…
どうやら見知らぬマンションの前のようです。周りの景観はどっかで見覚えが有るのですが…


すると、隣に誰かが途方に暮れている…意識がハッキリしたのでよく見ると…
ヤッ!これは大変だあ!35年前の私ではありませんか!途方に暮れた様子でこう言いました。
「オジサン、大変だよ! 僕の家が消えちまったよ!確かこのマンションの筈なんだが…」
ヤバイです!想定外のことが起きてしまいました!
これはどうなる…我々の運命やいかに…

    続く












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