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お昼前、酒田駅に降り立った。
1時間ほど待てば新庄行きの普通列車が有るが、折角酒田を訪れたのだから、少し市内を
観光するために、もう一列車遅らせ、14時丁度発の快速に乗ることにした。
酒田に来たからは「山居倉庫」と「本間美術館」「本間家旧邸」は是非見ておきたい。
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町めぐりをする観光客には、無料で観光用自転車が借りられる。
しかし道路には、ところどころ雪が残っているらしく、安全をみてバスを選んだ。
案内所で聞くと、駅前から “るんるんバス” に乗ると良いと言う。
“るんるんバス”とは市が運営する“福祉乗り合いバス”の愛称と言う事で、1乗車100円
で各所にいけるらしい。
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「山居倉庫」へは10分程で到着する。
明治26年に建設され、今も現役で使用されている米の保管用倉庫で、米どころ“庄内”の
象徴として人気のスポットだ。
41本のケヤキ並木は、今ではすっかり葉を落としてはいるが、それでも寄り添うように
建物を守っている。
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黒瓦に黒い板張りの12棟の倉庫は、鋸様の屋根を連ね、規則正しく連続する様がなんとも
美しく、そして壮観である。
雪が薄っすらと積もる黒と白の世界は、まるで一幅の墨絵のように静まり返っていて、
いつまで見ていても見飽きる事が無い。
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本町通りに建つ「本間家旧本邸」に立ち寄ってみた。
「本間さまには及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と詠われるほどの栄華を誇った
本間家十代の屋敷で、武家屋敷造りと商家造りが一体となった全国でも珍しい建築様式
らしい。
が、生憎今日は月曜日、休館日で有る。
表門は固く閉ざされ残念ながら拝観する事は適わなかった。
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ここから歩いて2~3分のところに国指定史跡の「旧鐙屋」がある。
酒田を代表する廻船問屋で、井原西鶴の「日本永代蔵」でもその繁栄を描かれたと言う。
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付近には奥の細道縁の場所も有り、彼方此方見ている内にすっかり時間を取ってしまった。
もう一箇所、「相馬樓」で珍しい酒田舞娘の踊りを見てみたいと思っていたが、もう時間
が無い。
止む無く駅に戻る事にした。(続)