簾 満月「バスの助手席」

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鮭といで湯の城下町・村上(JR全線乗潰しの旅)

2010-03-05 | Weblog
村上は、日本海沿いの越後の国最北の城下町である。
町中には武家屋敷や商家の建物が残り、曲がりくねった小路が城下町の風情を今に
伝えていると言う。
最近では「鮭といで湯の城下町」として人気の町でも有る。

しかし、観光には朝が早すぎるのであろう。
土地の人と思しき何人かが、学生たちに混じりホームに降り立っただけで、ここで
降りる観光客らしい姿を見かけることは無かった。
ホームで写真を撮っているうちに、学生たちはホームの先の階段を降りて行き、一人
だけ取り残されてしまった。

 【写真:村上駅に到着】

急いで駅舎を出る。
一台いたタクシーがお客を乗せ出て行くと、広い駅前の広場には、一面の雪の中に
轍のあとだけが鮮やかに残っていた。

 【写真:村上駅前】

雪道を10分ほど歩くと、町中の家並の中に観音寺が有る。
古い山門を潜ると境内は一面の雪で、まだ誰も歩いた痕跡も無く静まり返っている。
ここは即身仏で知られた古刹だ。

 【写真:観音寺】

「明治36年に76歳で入寂した仏海上人のご遺体を、遺言にもとづいて発掘し、即身仏
として安置している」と案内板にあった。
新雪を踏んで玄関を尋ねてみたが、硬く閉ざされた板戸の向うに人の気配は無く、
拝観は適わなかった。

そこから更に15分ほど歩くと「イヨボヤ会館」が有る。
イヨボヤとは、村上地方での古くからの「鮭」の呼び名らしい。
三面川では、古くから「居繰網漁」と言う二艘一組になって行う漁法で鮭を取って
いたと言う。
そう言った文化を今に伝える「鮭の博物館」が「イヨボヤ会館」である。
残念ながらここも開館にはまだ時間が有りすぎて中に入ることは出来ない。

 【写真:イヨボヤ会館】

少し先の土手を、足を滑らせながら登ってみる。
そこには、秋には鮭が銀鱗を躍らせると言う三面川が、日本海に向けて悠々と
流れていた。
川面を渡る風は冷たく、とても長居をする雰囲気では無い。
それにしても、ここにも全く人影が無い。早々に駅に向けて引き返すことにした。

 【写真:三面川】

途中鍛冶町で村上を代表する冬の風物詩、軒下に吊り下げられた「鮭の塩引き」を
見かけた。
「止め腹」と言われる特殊な切り方で腹を割き、頭を下に吊るすのが伝統の加工法
らしい。
これが見られただけでもここに来た価値が有る。

 【写真:鮭の塩引き】

駅の売店で「鮭の酒びたし」を購入した。
塩引き鮭を薄くそぎ、酒と味醂をかけたもので、「ビールとの相性はピッタリ」と
勧められ、こんな朝早くから買ってしまった。
お気に入りの缶ビールを手に、酒田に向う列車を待った。(続)
コメント
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