簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

秘境駅・布原(JR乗り潰し・伯備線)

2016-11-14 | Weblog
 新見の市街地を離れるとこの間車窓から見えるのは山と川の流ればか
りだ。そんな山間に僅かばかりの畑を開き、そこに数えられるほどの民家
が建ち、細やかな生活を営む日本の原風景ともいえる静かな里が展開す
る。





 そうかと思うと、車窓には、要塞のような大きな工場が突然姿を現す。
この地域には石灰岩の台地が広がっていて、それを採掘し加工する工場
である。

 嘗て三重連のSLが引いた貨車にもこれが満載されていたのであろうが、
今では工場に引き込み線は無く、トラック輸送が主流らしい。



 布原は信号所かられっきとした伯備線の駅になったにもかかわらず、面白
いことに、ここには同線の列車は普通さえも通過する。
中には停車もあるようだがあくまでも信号停車で旅客の扱いはせず、僅かに
新見まで乗り入れる芸備線の列車が一日数本停まるのみである。
したがって伯備線なのに、まるで芸備線のような扱いで、駅には芸備線の時
刻表しか掲げられてはいない。



 それなのにここでは、伯備線を行く特急やくもが停車する。
電車一両分ほどの長さしかない粗末なホームに、長い編成を窮屈そうに屈
めている。それは行き違いのための停車で、この駅には今なお信号所とし
ての機能が色濃く残されているのだ。



 ここではホームが、上り下り線で少しずれた位置に設けられている。
列車が停まると丁度先頭を突き合わせるような位置になり、これはかつてこ
の駅で行われたタブレット交換の名残らしい。



 駅周辺は山また山で何もなく、せせらぎが静かに聞こえ、僅かな畑では飼
牛が草を食み、時々モーとなく。
そんな長閑なこの駅をのんびりと眺めていると、特急が停車している光景が
なんとも不思議で面白い。(続)



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コメント
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