高崎から40分、富岡製糸場見学の玄関駅上州富岡に到着した。
さぞ見学客が多いだろうと想像していたが、平日の日中でもある性か、
駅に降り立った乗客の殆どが地元らしき人達ばかりで些か拍子抜けだ。
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ここは同電鉄の中では主要駅で、島式と単式の2面ホームに3線の
有人駅である。駅舎は平成26(2014)年に建て替えられたものだ。
世界遺産の指定に歩調を合わせてのことか、建屋も製糸場をイメージ
させる煉瓦造り風だ。構内には待合室を兼ねた広いスペースが有り、
情報発信の場となっている。
駅前ではキャラクターの「お富ちゃん」が観光客を迎えているが、
記念撮影する姿も見られない。電車で訪れる客は限定的なので有ろう、
駅前から人の引くのも早く静かなものだ。
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滞在できる時間も限られていたので、駅前から迷わずタクシーに乗り
込んだ。ドライバーに聞くと「殆どが大型のバスかマイカー」だそうだ。
2時間ほどの滞在予定なので、帰りのタクシーを予約すると「時間持て
余すかも知れませんよ。待たなくても良いし、1時間もあれば回れます。
帰りも駅まで15分ほどで歩けますから、土産物屋さん沢山有りますから、
ゆっくり歩かれたらどうですか」と言う。
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元々製糸場の年間見学者数は20万人程だったが、世界遺産に登録さ
れると同時に桁違いに跳ね上がり100万を優に越える賑わいが続いた。
しかし、そんなピークは長くは続かず、ここ一二年は減少傾向に有り、
少しずつ沈静化してきていると言う。
商売気のないと言うか、親切な女性ドライバーのアドバイスに従い、
「見学で歩き疲れたら電話する」と予約を取り消したりしている内に工
場前に到着した。思ったよりも近く早かった。(続)
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