この金比羅往来の脇道の途中には、備前第一の霊場「由加さん」が鎮
座している。人々は先ずここに立寄りお参りをし、災難から身を守り、
道中の交通安全をお願いする。
その後田の口湊から瀬戸内海を渡り「金比羅さん」に向かうのである。
ここ備前地域では、特に「由加さん」と讃岐の「金刀比さん」との
「両参り」が、300年以上も前から知られている。
両者とも海の神様でもあり、漁業関係者の信仰も篤いという。
両社に参ればより多くのご利益が頂けると、この「両参り」の風習も瞬
く間に広まった。
ここは標高274mの由加山(正式には瑜伽山)の丘陵地で、「由加山
蓮台寺」と「由加神社本宮」が境内を接して建っていて、この寺と神社
は「由加さん」と総称されている。
是まで2000年以上の歴史を秘めた神仏混淆の霊地として、深い信仰を集
めてきて、こうした背景により、備前にも金毘羅往来が整備されている。
山の中腹からは、三十三や六十一の厄除けの石段が続く表参道が残り、
沿道には茶店や古くからの名物「あんころ餅」を売る店も有り、昔の門
前町の風情を色濃く残している。
境内には備前焼の大鳥居や、備前藩主が奉納した備前焼の狛犬(厄除
け獅子)があり、県重文の蓮台寺本坊や客殿などの見所も多い。
この「由加さん」は、今ではお正月の初詣客の数が、吉備津神社や最
上稲荷と並んで県内でもトップクラスである。
しかし古来からの、「金比羅さん」との「両参り」の風習をどれだけの
人が知っているのか・・・、参拝の折、いつも思ってしまう。(続)
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