簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

大正池

2019-03-18 | Weblog



 普通トンネルは真っ直ぐに貫くと言うイメージだが、上高地の入り口となる
釜トンネルは不思議とアップダウンとカーブが多い。
このトンネルは色々と進化の変遷が有ったようで、タクシーのドライバーが説
明をしてくれるものの、当地の地理に疎い身には中々に理解し辛いものが有る。



 初めてトンネルが掘られたのは大正時代のようだ。
その旧トンネルに接続延長される釜上トンネルが完成するのは平成14年で、
更に平成17年に旧トンネルに変わる新トンネルが開通した。



 国土地理院の標高地図によると、このトンネルの入り口付近の標高は1315m
余りで、出口は1460m余りだ。
総延長1,310mでこの間に150m程登っていることになる。
これに続くのが長さ588mの上高地トンネルで、抜けると標高が1494mほどと
なり行く手正面に素晴らしい景観が現れる。



 大正池でタクシーを降りる。
暖房が効いて温かかった車内から外に出ると、肌を刺すような寒さが襲ってくる。
この日は快晴となり放射冷却でマイナス4度まで冷え込んだらしく、早朝には霧氷
も見られたと言う。



 大正4年の焼岳の大噴火の際、火山泥流が梓川をせき止めたことで出来たのが
大正池だ。古い観光写真では池に枯木が立つ光景でお馴染みであるが、今日それ
らは殆どが朽ちてしまったらしい。
なんとなく感じた違和感は、池に立つ枯木が少なかったせいである。



 立つ浪もない鏡のような静かな湖面には、焼岳が姿そのままに写されて浮かん
でいる。右に目を振れば山頂に雪を抱いた穂高連峰が神々しく屹立し、同じよう
にその姿を湖面に映している。余りの神秘的な絶景に多くの人々が声を失うのか、
大勢の観光客や三脚を構えたカメラマンなどで賑わう湖岸なのに、そこは静寂に
包まれていた。(続)

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