マリーゴールド・ホテルで会いましょう (ハヤカワ文庫NV) | |
デボラ・モガー | |
早川書房 |
先日、映画を観たのだが原作本を読んでみた。
これが全く・・・・。
通常、原作は良かったのに映画やTVドラマ化すると、
イマイチと言うのがほとんどなのだが、
これは珍しく映画の脚本家が上手いと思った。
まずは登場人物が多すぎる。
そしてその老人たちの子供や孫まで出てきて、
エピソードが広がりすぎて収集がつかなくなっているのを、
よくぞここまでまとめた。と褒めたい。
そして、原作では義父を厄介払いしたいインド人の医者が、
インドで老人ホームを計画する・・・
と言うちょっと褒められたものではない、
(気持ちは良く解かるが・・・)動機ではじまるのだが、
これも映画では遺産を受け継いだインド人の若者が思いつく・・・
と見事に変わっている。
そして私が映画を見て一番オカシイと思った所は、
舞台がジャイプールである所だった。
ジャイプールはラジャスターン州の有名な観光都市ではあるが、
ニューデリーやコルカタ、ムンバイ、チェンナイの4大都市、
それにバンガロール、ハイデラバード、プネーを加えた7大都市に比べれば、
近代的に発展している都市ではない。
また英語の認知度も低いのでイギリス人が暮らすには不便であろう。
そして英語のコールセンターは存在しないだろう。
コールセンターの本場はインドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロールである。
インド国内でマーケティングの電話がかかって来るとしても、
局番はチェンナイやデリー、ノイダあたりまでだ。
これは変だよ・・・と思っていたのだが、
原作では舞台はバンガロールであった。やっぱりね。
で、この長ったらしい(失礼)原作では登場人物が多すぎて、
影が薄くなっている人を別の人物と同一にしたり、
本当はいけ好かない爪弾き者の老人を、
映画では見事に魅力ある7人のキャラクターに仕上げている。
そして暗くなりがちな老後の問題を、
愉快に考えられるようにしている。
また、ホテルのマネージャーを魅力ある青年に変えてクローズアップし、
7人の老人達と相対させストーリーに重要な役割を持たせた、
と言う点も良かった。
原作を読んでみて、また一度、映画の素晴らしさに拍手を贈りたい。
ブラボー!!
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