ボクシングを描いた小説が読みたくなって捜したところ、
この本がヒットした。
飯島和一は歴史小説と言うジャンルの作家みたいだけど、
1989年に発行されていた。
有望視されていたが腐ってしまい故郷へ帰った主人公、
元新人王で日本ミドル級2位までランキングされた新田駿一。
その故郷とは7歳まで住んでいた鹿児島県の宝島、
年末年始に行こうと思っていた屋久島のまだ南にある島である。
なんという結びつき・・・・縁があるなぁ。
書き出しはかなりクサい。大沢在昌のハードボイルドを
たくさん読んだ私だけど、ハードボイルド調が臭ってくるほどだ。
うぇーっと思いながらも、ボクシング好きだから読み進んだ。
新田は千駄木にあるボクシングジムでトレーニングしていたが、
いつまでたっても頂点にはたどり着けず腐ってしまう。
知り合いにボクサーはいるけど、彼らもこんな気持ちなのか、
(みんながそうではないが)と初めて知った事がたくさんあった。
誰でも負けたくはない。
だから強い相手を選ばず、勝てる相手を選んでマッチメイクするのは、
某三兄弟だけの専売特許ではない。
新田は強かった。
ミドル級と言う日本人では大きい階級で、
一番力を出し切れる恵まれた体格と実力をも持ち合わせていた。
だから相手に恵まれなかった。
(現在の日本ランキングも6位までしか選手がいない。)
なかなかタイトルマッチにこぎつけず、
繰り返されるトレーニングと集中できない試合とバイトの毎日に壊れ、
ジムを辞めてアルコール依存症になりボロボロだった。
そんな新田を更生させようと手を貸す人物が現れ、
新田はアルコール依存症から抜け出すが故郷に帰る。
帰りたいと言うより子供の頃に遊んでもらった兄貴分に会いたかった。
しかし数年前に死んでしまっていた。
そしてボクサーとして独り立ちさせてくれた恩師の訃報の記事を読み、
再びリングに戻る決意をする。
で、再起戦に辿り着くまでのトレーニングの様子や
試合が決まってから、試合・・・と、
作者がボクサーなんじゃないか? と思わせるほどの表現だった。
26歳になった新田は復帰戦が20戦目、
相手は20歳で連勝街道を突き進むランキング1位。
対戦相手が怪我をしたため新田に回って来た代役で、
楽勝ムードでいたわけだ。
新田と言うキャラクターは才能はあるが特別ではない、
ボクサーはどんな気持ちで闘志を燃え滾らせ、
モチベーションを維持し、時には息抜きをしているのか。
近しい選手に置き換えては、納得してしまうのだった。
なんと今日は某選手の再起2戦目の応援に後楽園ホールに行く。
大阪の友人がスポンサーをしている関係で5月に復帰戦を観に行った。
判定勝ちだった。今回の相手は23歳で3連勝中の有望選手である。
またまたダブって来るものがある。
最近なんだか、いろいろな物事がタイミングよく回ってくるのだが、
なにか縁を感じてしまう。
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