1973年刊行の吉村昭の小説。
この本には4編が収められていて、
「海の鼠」「蝸牛(かたつむり)」「鵜」「魚影の群れ」と
全てが生き物を題材にした小説である。
「海の鼠」は実際にあった鼠騒動を描いたもので、
小島に大発生した鼠と島民との戦いである。
インドにいた頃、ネズミは普通にいた。
我が家の玄関の扉の下から白い小さなネズミ(ハツカネズミか?)が
礼儀正しく入って来た事もあったし、日本から持っていった
「ごきぶりホ〇ホ〇」に引っかかった事もあった。
この時は驚いた。ごきぶりホ〇ホ〇が動いていたので、
どんな大きなゴキブリがかかったのかと恐る恐る覗いて見た。
そうしたら茶色いネズミが引っかかっていて、ネズミはホ〇ホ〇の
紙製の家をかじって逃げようとしていた。
怖かったので、そのままビニル袋に入れてゴミ捨て場に捨てた。
もう一つのエピソードは、これも怖かった。
インドのとある古い町に旅行に行き市場でフルーツを買った。
釈迦頭と言うフルーツで私の大好物だ。
それをテーブルの上に置いて寝た。
夜中にカリカリと言う音に目覚めた。電気をつけると音は止んだ。
電気を消してしばらくするとカリカリと音がする。
再び電気を灯すと音が止む・・・
まぁネズミだろうと思っていたのだが、何をかじっているのか?
テーブルの上に目が止まった・・・「あ”~!!」
大好物の釈迦頭が・・・・。やられていた・・・。
と言うわけでだ、この本を読み始めて、
その記憶がよみがえったわけだ。怖い怖い。
4作品共に生き物をテーマにしながら、
なんとも言えない物悲しい作品だった。
「魚影の群れ」は1983年に映画化されている。
マグロを取る漁師の家の話で、皆が一目置く腕のいい漁師・房次郎は、
頑固一徹であるがために妻に出て行かれ、娘と暮らしていた。
18歳になった娘に恋人ができて、その男が婿に来たいと言う話になる。
房次郎は妻が出ていた事を思い出し、娘とその男をどうするか悩む。
そして・・・・
房次郎役は緒形拳(ピッタリ)、妻が十朱幸代、娘役は夏目雅子、
恋人役は佐藤浩市と凄いキャスティング。
観てみたい気がする。
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