熊谷達也のマタギ三部作の第一弾。
「相剋の森」「邂逅の森」「氷結の森」と続くわけだが、
「邂逅の森」から読み始めたため、シリーズが続きものなのか、
それぞれ単独なのか、知らなかった。
「邂逅の森」の主人公・富治は秋田県の阿仁のマタギであった。
富治の生い立ちから初老にかけての伝記的な物だたりである。
「相剋の森」の主人公はライターの佐藤美佐子。
都会出身の美佐子が仙台のタウン誌の編集長の時に取材に行ったのは、
山形県との県境にある新潟県熊田村である。
新潟県出身なのでがぜん興味がわいた。読み進んで行くと、
美佐子が取材した滝沢のルーツは「相剋の森」の富治に辿り着く。
それどころか美佐子自身のルーツも富治に辿り着く。
なるほど。一作目と二作目は繋がりがあったわけだ。
たぶん一作目から読むと二作目にすんなり入って行くと思うが、
二作目を先に読んでいると、まぁ最初から秋田、山形、新潟と
近隣であることや、山越えの旅マタギの話を知ってるので、
もしかして・・・と気をまわすのだ。
で、やっぱりね! となる。
最初は現代になぜマタギ必要なのか?と反対派だった美佐子が、
取材対象の動物愛護団体やマタギ衆と関わっているうちに、
マタギの本質に気づいて行く。
まぁこのへんの考え方の変化が面白いのだ。
三作目の「氷結の森」でどう完結するのか楽しみである。
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