雀の手箱

折々の記録と墨彩画

今年の文楽鑑賞

2010年03月06日 | 雀の足跡
 昨日は、例年楽しみにしている人形浄瑠璃「文楽」の地方公演に出かけました。同好のITサークルのKさんをお誘いして戸畑市民会館まで、昼の部の鑑賞です。
 演目は
 ●「卅三間堂棟由来」さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい
      平太郎住家より木遣音頭の段
 ●「本朝廿四孝」ほんちょうにじゅうしこう    
      十種香の段・奥庭狐火の段 です。
 本朝廿四孝のほうは、歌舞伎で上演されたのを、昔見ていますが、卅三間堂棟由来は全くはじめてで、荒唐無稽の筋書から、余り期待もしていなかったのですが、愛するものが引き裂かれる別れに、親子の情愛が絡んで、幼いみどり丸が木遣り唄にあわせて柳の木を曳く場面にはほろりとさせられました。キリの鶴沢燕三の三味線がことのほか冴えていたように思いました。
 本朝廿四孝は、八重垣姫という三姫の一つで、赤姫の代表格である主人公を、人間国宝の吉田文雀が人形を遣われました。今年81歳のはずですが、可憐にそして大胆な行動に出る姫君を見事に演じきられました。華やかで変化に富む舞台を人形であるがゆえにこそ伸び伸びと、宙吊りも不要で、狐の動きも面白く楽しんで惹きこまれていました。
 非日常の3時間は短く、夢の間のように過ぎてゆきました。

正月の通し矢で有名な京都・三十三間堂。その棟木の由来とは…。紀伊の山奥でかつて椰の木と夫婦であった柳の大木、その精が女性の姿になって、人間に生まれ変わった夫と再会、子供にも恵まれ幸せに暮らしていましたが、柳の木は三十三間堂の棟木として切り倒されることに―。正体を明かし、家族との別れを悲しみながら姿を消す柳の精。大切な妻を失った夫の嘆き。柳は夫が木遣り音頭を歌う中、母を慕う幼子に曳かれて行く…という不思議な物語。画像は柳の精の姿になったお柳。
戦国時代、対立する武田・長尾(上杉)両家の和睦のため許嫁となった勝頼と八重垣姫。その後、勝頼が切腹し、毎日十種香を焚き悲嘆に暮れる姫。ところが、勝頼が生きていたとわかり、姫は大喜び。しかし、それも束の間、勝頼のもとに討手が遣わされる。この危機を何としても勝頼に知らせ、命を救いたいと諏訪明神に祈る姫。やがて明神の使いである白狐が現われ、その力を借りて姫は勝頼のもとへと急ぎます。(公演チラシの解説より引用)




おまけの珍しい画像は、亡き人間国宝 桐竹紋十郎(二代目)の若き日の狐火の段。
 八重垣姫が諏訪法性の兜をかざし、「立ちたりしが・・・」と、池に映る自分の姿に狐を見るところ。
 所蔵の昭和17年発行の筑摩書房「文楽」よりの懐かしの映像です。