ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジャム・セッション

2013-01-24 23:16:32 | ジャズ(ビバップ)
25歳で事故死したクリフォード・ブラウンはその天才的なプレイと短すぎるキャリア故に、死後に多くの録音が彼のリーダー作として発売されました。クリフォード・ブラウン・オールスターズの帯がついた本作もエマーシー・レーベルが1954年に西海岸の一流プレーヤー達を集めて行ったジャムセッションを収めたもので、特に彼のリーダー作と言うわけではありません。メンバーはブラウンの他にクラーク・テリー、メイナード・ファーガソン(いずれもトランペット)、ハロルド・ランド(テナー)、ハーブ・ゲラー(アルト)、リッチー・パウエル&ジュニア・マンス(ピアノ)、キーター・ベッツ&ジョージ・モロウ(ベース)、マックス・ローチ(ドラム)。白人、黒人を問わず総勢10人の名手が顔を揃えており、さらに1曲のみ黒人歌手のダイナ・ワシントンが加わっています。



曲は全4曲。うち“What Is This Thing Called Love”と“Move”の2曲が15分前後もある長尺の演奏で、ジャム・セッションらしく全員が次々と代わりばんこにソロを披露します。なぜかスタジオに観客を入れて録音されたらしく、ソロが終わるたびに拍手が入るのが邪魔ですが、演奏自体はまことにもって素晴らしい。中でも聴きモノが3人のトランペッターの競演。不世出の天才クリフォード・ブラウンの圧倒的なプレイは言わずもがなですが、負けじと力強いソロを奏でるクラーク・テリーの健闘ぶりが光ります。ただ、ハイノートを連発するメイナード・ファーガソンは個人的にはやや苦手ですかね。後の2曲はバラード。“Darn That Dream”はダイナ・ワシントンのボーカル入りですが、彼女のパンチのある歌声もさることながらハロルド・ランドの2分以上に及ぶテナーソロが溜息の出る美しさです。ラストはバラード・メドレーで、ピアノ(ジュニア・マンス?)の“My Funny Valentine”、クラーク・テリーの“Don't Worry 'Bout Me”、ハーブ・ゲラーの“Bess, You Is My Woman Now”、そしてブラウンの“It Might As Well Be Spring”と続きます。どれも甲乙つけ難い出来ですね。このメンバーだとついブラウンに目が行きがちですが、他のメンバー、特にテリーとゲラー、ランドの実力を再認識するには格好の1枚です。
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