新年あけましておめでとうございます。今年もマイペースで手元のCDを紹介していきたいと思います。さて、2013年度の更新第一弾はメル・トーメのライブ盤です。年末に発売されたベツレヘム・レーベルの再発シリーズからの1枚ですね。トーメは昨年9月にもアトランティック盤「カミン・ホーム・ベイビー」をご紹介しましたが、私の最も好きな男性ヴォーカリストですね。本作は1957年、ハリウッドにあったクレッシェンドというジャズクラブで行われたライブの模様を記録したもので、バックにはドン・ファガーキスト(トランペット)、マーティ・ペイチ(ピアノ)、マックス・ベネット(ベース)、メル・ルイス(ドラム)、そしてラリー・バンカー(ヴァイブ、アコーディオン、パーカッション)と西海岸の一流ジャズメンが名を連ねています。
全12曲、どの曲もトーメのコクのあるボーカルとクインテットの演奏が絶妙にマッチした聴き応えのある曲ばかり。特に“It's Only A Paper Moon”“Just One Of Those Things”“Lover Come Back To Me”ではトーメの軽快なボーカルに続き、ペイチのスインギーなピアノ&ファガーキストのブリリアントなトランペットにもスポットライトが当てられています。一方でバラードの“One For My Baby”や“A Nightingale Sang In Berkeley Square”では情感たっぷりに歌い上げるトーメのボーカルが堪能できます。その他ではスペックス・パウエル作の“Love Is Just A Bug”、シナトラの持ち曲だった“The Tender Trap”などマイナーな曲もあったりとバラエティに富んだ内容。時折入るトーメのMCや聴衆の拍手など臨場感もたっぷりです。愛車のジャガーとともにポーズを決めるジャケットも最高にお洒落ですね。