ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ビャーネ・ロストヴォルド/ジャズ・ジャーニー

2013-01-14 22:53:04 | ジャズ(ヨーロッパ)
デンマークといえば以前にジャズ・クインテット60を取り上げましたが、今日ご紹介するのはその前年に発表された作品。メンバーもほぼかぶっていて、リーダーのビャーネ・ロストヴォルド(ドラム)を始め、ベント・アクセン(ピアノ)、アラン・ボッチンスキー(トランペット)と4人中3人が同一メンバーです。ベースだけがニールス・ペデルセンではなくエリック・モーゼホルムですが、彼もエリック・ドルフィーと共演したこともある実力者であり、当時のデンマークの俊英達が勢揃いした作品と言えるでしょう。



曲はオリジナルが多いジャズ・クインテット60とは違い、全てスタンダード曲またはアメリカのジャズメンのカバー。北欧ジャズメン達が抱いていた本場のハードバップへの熱い想いが溢れてくるような作品です。前半4曲がトランペット入りのカルテット、後半はリズムセクションのみのトリオとなっていますが、やはり当時ヨーロッパ屈指のトランペッターだったボッチンスキーのプレイが聴ける前半が素晴らしいですね。ラッキー・トンプソン作の隠れた名曲“Mister Man”、マイルスを意識したようなボッチンスキーのミュート奏法が冴える“I Love You”、コルトレーンのモード曲に一丸で挑んだパワフルな“Mister P.C.”、そしてボッチンスキーの歌心あふれるラッパとアクセンの飛翔するピアノが融合した“You Stepped Out Of A Dream”と名演揃いです。後半4曲はトランペットが抜け、一転してモーゼホルムのベースがクローズアップされます。ペダーセンほど有名ではないですが彼のベースも凄いですね。バド・シャンク作“Fluted Columns”とデューク・ジョーダン作“No Problem”はどちらもベースが主役と言ってよいナンバーです。通常よりかなりテンポの速い“Autumn Leaves”も出色の出来。リーダーのロストヴォルドはと言うと、ドラマーとして堅実に皆をサポートしていますが、あまり前にしゃしゃり出るタイプではないようですね。ジャケットはいたって牧歌的ですが、中身は熱きハードバップが詰まった1枚です。
コメント