ハードバピッシュ&アレグロな日々

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リスト/交響詩集

2013-07-20 22:30:44 | クラシック(管弦楽作品)
クラシックには“交響詩”と呼ばれるジャンルがあります。文学作品や伝説、神話などをテーマにした標題音楽で、中には交響曲と見まがうような大規模なものもありますが、多くが10分~20分程度の単一楽章形式で、テーマとなる作品の世界をコンパクトに表現できるためロマン派の多くの作曲家が傑作を残しました。代表的な作曲家としてはリヒャルト・シュトラウスやシベリウスが挙げられますが、実は交響詩そのものを生み出したのはリストなんだそうです。リストは以前に紹介したピアノ協奏曲でも述べましたが、ピアノ作品のイメージが強すぎて管弦楽曲のイメージがなかったのですが、それは偏見だったようです。



リストの交響詩は全部で13曲あるそうですが、私が買ったクルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のCDにはそのうち4曲とピアノ曲を編曲したメフィスト・ワルツ第2番が収録されています。1曲目はルネサンス期のイタリアの詩人トゥルクアート・タッソの生涯を描いた「タッソー」。悲劇的で重苦しい前半部分から一転して現れる高らかに歌い上げられる勝利のテーマが実に壮大です。2曲目は「前奏曲」。交響詩なのに前奏曲とはこれいかに?ですが、フランスの詩人ラマルティーヌの作品に書かれた「人の一生は死への前奏曲に過ぎない」という一節から取ったようです。金管のファンファーレによる第2主題、ホルンの奏でる牧歌的な第3主題が印象的です。3曲目はギリシャ神話の登場人物をテーマにした「オルフェウス」。他は全て15分を超える大作ですが、この曲は10分弱と短く、穏やかで愛らしい旋律に満ちた小品です。4曲目は「マゼッパ」。ウクライナのコサックの英雄を讃えたドラマチックな曲で、戦いの場面を表した荒々しい前半部分、陰鬱な中間部分を経て、フィナーレは壮麗な行進曲で締めくくられます。「メフィスト・ワルツ」は悪魔メフィストの名を冠してはいますが、曲調は以外に優雅でメロディアスです。以上、「前奏曲」を除いて取り上げられる機会も少ないマイナー曲ばかりですが、どれも堂々としたロマン派の名曲揃い。イチ押しです。
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