ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ルーツ

2013-12-07 11:45:52 | ジャズ(ハードバップ)

50年代のハードバップ全盛期にはジャムセッション形式によるアルバムが多く録音されました。特定のリーダーがいるわけでもなく、レコード会社の呼びかけでミュージシャン達が集まり、その場限りのセッションが開かれる。演奏前におそらく簡単な打ち合わせが行われるだけで、後は参加ミュージシャンが思う存分にアドリブ演奏を行う。はっきり言ってかなりアバウトなやっつけ仕事ですが、それでも綺羅星のごとく才能溢れるジャズメン達が揃っていたこの時代には多くの名演奏が生み出されました。特にプレスティッジはジャムセッション形式の作品が多く、「オール・ナイト・ロング」「オール・デイ・ロング」「アフター・アワーズ」「テナー・コンクレイブ」「インタープレイ・フォー・2トランペッツ&2テナーズ」等多くの名盤を残しています。今日ご紹介する「ルーツ」もそのうちの1枚です。



セッションは1957年10月25日と12月6日の2回に分けて行われ、どちらもトロンボーン、トランペット、バリトンの3管編成からなるセクステットです。うち両方に参加しているのはトランペットのイドリース・スリーマンとベースのダグ・ワトキンスの2人だけで、後は10月のセッションがジミー・クリーヴランド(トロンボーン)、セシル・ペイン(バリトン)、トミー・フラナガン(ピアノ)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)。12月のセッションがフランク・リハック(トロンボーン)、ペッパー・アダムス(バリトン)、ビル・エヴァンス(ピアノ)、ルイス・ヘイズ(ドラム)という顔ぶれです。

曲は全部で3曲しかありませんが、そのうち12月録音の“Roots”だけで27分を超える長尺の演奏です。ジャムセッションは明確なアレンジもなく、各人のアドリブに自由に任せるため、演奏が長くなりがちですがそれにしてもここまで長いのは珍しいですね。ゴリゴリと吹くアダムスのバリトン、力強いスリーマンのトランペット、そして意外とブルージーなピアノを弾く若き日のエヴァンスと聴き所はありますが、さすがに冗長さを感じずにはおれません。半分くらいにまとめてくれると良かったんですけど。残りの2曲は10月のセッションからの収録で、どちらも古いゴスペル曲をモダンジャズにアレンジしたもの。“Down By The Riverside”ではセシル・ペインのバリトンに続き、再びスリーマンがブリリアントなソロを聴かせます。“Sometimes I Feel Like A Motherless Child”はマイナーキーのナンバーでクリーヴランドのトロンボーン、ペインのバリトン、フラナガンのピアノとソロが受け渡されていきます。ちと暗すぎるのが難点です。以上、豪華ハードバッパーの共演ですが、内容的にはまあまあと言った感じの1枚です。

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