ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ベニー・グリーン・ウィズ・アート・ファーマー

2013-12-20 22:00:38 | ジャズ(ハードバップ)
本日は最近発売されているプレスティッジの7000番台の再発シリーズから、ベニー・グリーンの作品をご紹介します。ベニー・グリーンと言えば90年代以降活躍している白人ピアニストに同名の人がいますが、そちらはBenny Green。こちらはBennie Greenで主に50年代に活躍した黒人トロンボーン奏者です。ブルーノートに3枚のリーダー作を残しており(「バック・オン・ザ・シーン」は名盤!)、そちらは何度も再発されていますが、プレスティッジの方はなかなか入手困難でしたので待望のリイシューです。録音は1956年。タイトルの通りトランペッターのアート・ファーマーとの共演作で、他のメンバーはクリフ・スモールズ(ピアノ)、アディソン・ファーマー(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)です。クリフ・スモールズという人は寡聞にして聞いたことがないのですが、なかなか軽やかなタッチのピアノです。後にソフト・ジャズ路線で手堅く成功するファーマーもこの頃は血気盛んなハードバッパーですし、パワフルなグリーンのトロンボーンと相まってストレートアヘッドな演奏を聴かせてくれます。



全5曲。うちメンバーのオリジナルが3曲で、ファーマー作のハードドライビングな“Skycoach”、スモールズ作のブルース“Cliff Dweller”、グリーン作のややラテン調の“Let's Stretch”と言ったラインナップ。特に“Let's Stretch”でのグリーンの長尺のソロが圧巻ですね。残りの2曲は有名スタンダードで私としてはこちらの方をお薦めしたいです。オープニングを飾る“My Blue Heaven”はファンキーなピアノのイントロからグリーン、ファーマー、スモールズが快調にソロを受け渡していきます。ラストの“Gone With The Wind”はミディアムテンポで演奏されることが多いですが、ここではスローなバラードで料理されており、これがまた素晴らしい。グリーンのムード満点のトロンボーンソロは思わずゾクゾクとする大人の色気さえ感じさせてくれます。ジャズにしては珍しく鮮やかな黄色をバックにしたジャケットも印象的な一枚です。
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