ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

モダン・ジャズ・ディサイプルズ

2013-12-05 23:57:17 | ジャズ(ハードバップ)
これまで1,500枚近いジャズアルバムを聴いてきて、特に50~60年代のジャズに関してはかなりの通を自認している私ですが、今なお未知のジャズメンに遭遇することがあります。今日ご紹介するモダン・ジャズ・ディサイプルズもその一つ。何でもオハイオ州のシンシナティをベースに活動したグループだそうで、プレスティッジの傍系レーベルであるニュージャズに2枚のアルバムを残しています。本作は彼らのデビュー作で1959年9月の録音です。メンバーはカーティス・ペグラー(アルト)、ウィリアム・ケリー(ノーマフォン)、ビリー・ブラウン(ピアノ)、リー・タッカー(ベース)、ロン・マッカーディ(ドラム)の5人。う~ん、残念ながら誰一人知ってる人はいませんね。ドラムのマッカーディは知ってるかも?と思ったのですが、ジャズテットやキャノンボール・アダレイのバンドでドラムを叩いていたロイ・マッカーディとはよく似た名前の全くの別人で、こちらのロン・マッカーディは北アイルランド出身の白人です。



そんな得体の知れないグループですが、アルバムの中身は超がつくほどストレートな王道ハードバップです。パーカー直系の小気味良いアルトを聴かせるペグラー、バルブトロンボーンの一種であるノーマフォンを軽快に吹きならすケリー、抜群のスイング感ときらびやかなタッチでアクセントを付けるブラウン。シンシナティという地方都市でプレイしていたがために脚光を浴びることはありませんでしたが、演奏のクオリティは当時絶頂だったブルーノートの面々と比べても遜色はないと思います。選曲も素晴らしくスタンダードをアップテンポに料理した“After You've Gone”に始まり、スライド・ハンプトンの“Slippin' & Slidin'”、キャノンボール・アダレイの“Little Taste”、パーカーの“Perhaps”、リー・タッカー“Dottie”とミドルからアップテンポのバップチューンがずらりと連なります。結局一度もスターダムに登ることもなく歴史の片隅で忘れ去られた彼らですが、本作はハードバップ愛好者なら99%気に入ること間違いなしの隠れ名盤です。
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