前々回のラフマニノフ、前回のバーバーとたまたま20世紀のロマン派音楽を取り上げましたが、今日もその流れでエーリッヒ・コルンゴルトの作品をご紹介します。1897年オーストリア生まれ、10代の頃から神童として注目を浴び、ウィーン楽壇の寵児となりますが、やがてオーストリアがナチスに併合されるとユダヤ系の出自ゆえに迫害を受け、アメリカに亡命。渡米後は映画音楽の作曲家として大成功を収めますが、それと反比例するように純粋なクラシック音楽の作曲家としては評価されなくなります。保守的なクラシックの世界では映画音楽=大衆向けの商業音楽と言う認識が強く、一段低く見られたようですね。(現在でもジョン・ウィリアムズをクラシックの作曲家と見なす人が少ないのと同じです。)ただ、死後に再び評価が高まり、特に本ブログでも取り上げたヴァイオリン協奏曲は20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲の傑作として今では世界中で演奏されています。今日ご紹介する交響曲も1952年の作品で生前はまともに評価されませんでしたが、最近になってヴァイオリン協奏曲の人気に引っ張られるように演奏機会も増えてきているようです。ただ、CDとなるとレアで国内盤で入手可能なのは今回購入したアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団のみと思います。
曲は4楽章形式で50分を超える堂々とした作品です。曲調は完全に後期ロマン派で、1952年完成ながら現代音楽の要素は皆無です。第1楽章は不安げな幕開け。フルートが奏でるやや調子っ外れな旋律の第1主題をオーケストラ全体が引き継ぎます。中間部で優美な旋律の第2主題が現れ、その後は両方の主題を繰り返しながらドラマチックな盛り上がりを見せます。第2楽章は一転して生き生きとしたスケルツォ。きびきびした弦楽合奏の後に現れる冒険映画を思わせるようなキャッチーな旋律はコルンゴルトならではの魅力です。第3楽章はマーラーを彷彿とさせる長大なアダージョでやや哀調を帯びた美しい旋律が終盤に向けて静かに燃え上がるような展開。第4楽章は再び快活なアレグロで映画音楽のようなファンタジックな展開を見せた後、第1〜第3楽章の主題の再現を随所に盛り込みつつフィナーレを迎えます。以上、どの楽章も異なる魅力を持った充実の内容で、個人的には20世紀に書かれた交響曲の中でも指折りの傑作かと思います。ヴァイオリン協奏曲に比べるとまだまだ知名度は低いですがこれからどんどんメジャーになっていくことを期待します。
CDには他にシェークスピア劇「から騒ぎ」の付随音楽から4曲が収録されています。こちらは交響曲より33年も前、コルンゴルト22歳の時の作品です。後期のヴァイオリン協奏曲や交響曲とは全く違いますが、かつてモーツァルトの再来と呼ばれた若きコルンゴルトの才能が感じられます。とりわけ優雅な「花嫁の部屋の乙女」と溌溂とした「仮面舞踏会」が素晴らしいです。
曲は4楽章形式で50分を超える堂々とした作品です。曲調は完全に後期ロマン派で、1952年完成ながら現代音楽の要素は皆無です。第1楽章は不安げな幕開け。フルートが奏でるやや調子っ外れな旋律の第1主題をオーケストラ全体が引き継ぎます。中間部で優美な旋律の第2主題が現れ、その後は両方の主題を繰り返しながらドラマチックな盛り上がりを見せます。第2楽章は一転して生き生きとしたスケルツォ。きびきびした弦楽合奏の後に現れる冒険映画を思わせるようなキャッチーな旋律はコルンゴルトならではの魅力です。第3楽章はマーラーを彷彿とさせる長大なアダージョでやや哀調を帯びた美しい旋律が終盤に向けて静かに燃え上がるような展開。第4楽章は再び快活なアレグロで映画音楽のようなファンタジックな展開を見せた後、第1〜第3楽章の主題の再現を随所に盛り込みつつフィナーレを迎えます。以上、どの楽章も異なる魅力を持った充実の内容で、個人的には20世紀に書かれた交響曲の中でも指折りの傑作かと思います。ヴァイオリン協奏曲に比べるとまだまだ知名度は低いですがこれからどんどんメジャーになっていくことを期待します。
CDには他にシェークスピア劇「から騒ぎ」の付随音楽から4曲が収録されています。こちらは交響曲より33年も前、コルンゴルト22歳の時の作品です。後期のヴァイオリン協奏曲や交響曲とは全く違いますが、かつてモーツァルトの再来と呼ばれた若きコルンゴルトの才能が感じられます。とりわけ優雅な「花嫁の部屋の乙女」と溌溂とした「仮面舞踏会」が素晴らしいです。