ジョニー・グリフィンについては本ブログでもたびたび取り上げてきました。シカゴNo.1テナーの看板を引っ提げて1956年にニューヨークにやって来たぐグリフィンはまずブルーノートと契約、「イントロデューシング・ジョニー・グリフィン」で実力のほどを見せつけます。翌年4月にはジョン・コルトレーン、ハンク・モブレー、リー・モーガンを加えた超豪華な4管編成による「ア・ブローイング・セッション」を吹き込み、その半年後の10月に録音したのが今日ご紹介する「ザ・コングリゲーション」です。本作を最後にグリフィンはリヴァーサイドに移籍。同レーベルの看板スターとして「ジョニー・グリフィン・セクステット」「ウェイ・アウト!」「ザ・ケリー・ダンサーズ」等の傑作を残します。
ワンホーン・カルテットでリズムセクションはソニー・クラーク(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、ケニー・デニス(ドラム)と言う布陣。ブルーノートの看板ピアニストであるクラークの参加も作品の価値を高めています。なお、ブルーノートには珍しいイラストのジャケットを手がけたのはあのアンディ・ウォーホルだそうです。私は彼のマリリン・モンローに代表される一連の”ポップ・アート”は正直何が良いのかよくわからないのですが、このイラストはセンスがあって好きです。なお、ウォーホルは他にケニー・バレルの名盤「ブルー・ライツ」も出がけてますね。
全5曲。アルバムはグリフィン自作のタイトルトラック”The Congregation"で幕を開けます。congregationとは教会での集会を意味する言葉で、曲調もゴスペルを思わせる陽気な曲で、思わず手拍子したくなるノリの良さです。雰囲気的にはホレス・シルヴァーの”The Preacher”に似ているかもしれません。2曲目は本作のハイライトである名曲”Latin Quarter”。グリフィンのシカゴ時代の盟友であるジョン・ジェンキンスがスタンダード曲の”Tangerine”を下敷きにラテンフレイヴァーを加えたオリジナルで、ジェンキンスもグリフィンも参加したウィルバー・ウェア「ザ・シカゴ・サウンド」に収録されていました。パワフルでいながら歌心も失わないグリフィンのテナーに、魅力的なフレーズを次々と繰り出すクラーク、チェンバースのピチカートソロを挟んで再びグリフィンが熱くブロウします。個人的にはこの曲を聴くだけでもアルバムを買う価値があると思います。
3曲目はスタンダードの”I'm Glad There Is You”。通常はバラードで演奏される曲ですが、ここではミディアムテンポで料理されています。4曲目は再びグリフィンのオリジナル”Main Spring”で、こちらはソウルフルな曲。ラストは定番スタンダードの”It’s You Or No One"で、こちらはドライブ感たっぷりの演奏。グリフィンのエネルギッシュなテナーはもちろんのこと、クラークの躍動感あるピアノソロが最高ですね。50年代後半のグリフィンはまさに絶好調で、この頃の彼のリーダー作にハズレなしをあらためて実感させてくれます。