ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

シューマン/交響曲第1番&第2番

2013-11-15 23:59:25 | クラシック(交響曲)
本日はロベルト・シューマンの交響曲第1番&第2番をご紹介します。以前に第3番&第4番も取り上げましたので、これで全曲制覇ですね。シューマンの交響曲には一度聴いたら忘れられなくなるような強烈なインパクトはなく、そのせいかクラシック愛好家の人気は高いとは言えませんが、どれもドイツ・ロマン派の薫り高き秀作揃いです。第1番は「春」の別名で知られていますが、特に春っぽいイメージはしません。高らかなファンファーレで始まる壮麗な第1楽章、優美な旋律の第2楽章が素晴らしいですね。それに比べると第2番はやや暗い内容。シューマンが精神病を患っていた頃の作品というのもあるかもしれません。悲哀に満ちた第3楽章がその好例です。それでも力強いフィナーレの第4楽章はさすがに堂々としたものです。



CDはラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のものを買いました。クーベリックと言えばバイエルン放送交響楽団の指揮者として名高いですが、ベルリン・フィルとの共演もあるんですね。このCDには2曲の交響曲に加え、歌劇「ゲノフェーファ」序曲が収録されています。シューマンにオペラのイメージは全くありませんが、実際に出来もそんなに良くないらしく今では上演される機会はほぼ皆無です。ただ、序曲だけは独立した管弦楽作品としてコンサートでもよく上演されるようです。序盤は陰鬱な展開ですが、中盤以降はドラマチックな展開を見せるなかなかの佳曲です。
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リヒャルト・シュトラウス/ツァラトゥストラはかく語りき、マクベス&死と変容

2013-11-08 23:38:03 | クラシック(管弦楽作品)
リヒャルト・シュトラウスは合計7つの交響詩を残しましたが、そのうち「英雄の生涯」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は6月のエントリーで、「ドン・ファン」「ドン・キホーテ」は10月のエントリーでご紹介しています。今日UPするのは残る「ツァラトゥストラはかく語りき」「マクベス」「死と変容」の3作品です。CDはアンタル・ドラティ指揮デトロイト交響楽団のものを買いました。



まず「ツァラトゥストラはかく語りき」は哲学者ニーチェの同名の著書にインスパイアされて書いたもの。ちなみにツァラトゥストラとは古代ペルシアの宗教家ゾロアスターのドイツ語名です。全9曲、34分弱の作品ですが、この曲で有名なのは何と言っても冒頭の序奏の部分。映画「2001年宇宙の旅」をはじめなあちこちでBGMとして使われています。地の底から湧き出るようなオルガンの重低音をバックに高らかにトランペットが奏でられ、続いてオーケストラ全体が壮麗な旋律を歌い上げる感動的な展開。2分弱の演奏ですがインパクトは抜群です。ただ、そのせいか他の部分が地味に感じてしまうのは否めません。ワルツ調の「舞踏の歌」、フィナーレの「夜のさすらい人の歌」なども魅力的だとは思うのですが。

「マクベス」はシェイクスピアの同名の劇を題材にした作品。リヒャルト・シュトラウスの交響詩の中では一番地味で録音数も少ない曲かもしれません。20分弱の曲で冒頭から力強くドラマチックな演奏が繰り広げられますが、シュトラウス作品には欠かせないロマンチックな旋律が出てこないのが確かに物足りない。その点「死と変容」の方が魅力的ですね。死をテーマにした音楽だけあって前半は不安げな旋律が支配的ですが、終盤16分を過ぎたあたりから天による魂の救済が描き出されます。まさにリヒャルト・シュトラウスの真骨頂とでも言うべき甘美な旋律と雄大なオーケストラの融合が実に感動的です。
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ロンドン交響楽団ガラ・コンサート

2013-11-07 22:39:09 | クラシック(管弦楽作品)
本日はロンドン交響楽団が1971年に開いたガラ・コンサートを収録したCDをご紹介します。ガラ・コンサートとは交響曲や協奏曲など特定の作品の演奏会ではなく、オムニバス形式で色々な作曲家の曲を演奏するスタイルのことを指します。本盤に収録されているのはエドワード・エルガーの序曲「コケイン」、レナード・バーンスタインの「キャンディード」序曲、レイフ・ヴォーン=ウィリアムズの「グリーンスリーブスによる幻想曲」、ジョルジェ・エネスクの「ルーマニア狂詩曲第1番」の計4曲。どれも決してメジャーとは言えないものの、それぞれ味わいのある隠れた名曲です。この演奏会のユニークなところは、最初の「コケイン」を指揮しているのがプロの指揮者ではなく、当時のイギリス首相であるエドワード・ヒースだということ。学生時代にオルガン奏者をしていたらしいですが、本職ではない政治家のタクトで大丈夫かいなと思いますが、意外と無難に聴けます。まあ、演奏が世界有数のオケであるロンドン交響楽団だからと言うのもありますが。なお、残りの3曲は当時の常任指揮者であったアンドレ・プレヴィンが指揮しています。



まず、エルガーの「コケイン」ですが、別名を「ロンドン讃歌」とも言い、20世紀初頭のロンドンの下町の様子を活き活きと描写した明るい曲です。アルファベットはCockaigne(ロンドンの別名)で、麻薬のcocaineとは違いますのであしからず。エルガーと言えば「威風堂々」を真っ先に思い出しますが、この曲も実に力強く雄大な雰囲気に満ちた名曲です。続く「キャンディード」序曲は偉大なる指揮者バーンスタインが作曲家としての才能を発揮した同名のオペラからの曲。代表作「ウェスト・サイド・ストーリー」に比べるとマイナーですが、この序曲は文句なしの名曲で独立して使われることも多いようです。4分余りの小品ですが、次々と飛び出す陽気なメロディと色彩豊かなオーケストレーションに心が浮き立つこと間違いなしです。続く「グリーンスリーヴス」は以前ヴォーン=ウィリアムズ作品集で取り上げたのでパス。最後の「ルーマニア狂詩曲第1番」はエネスクが故郷ルーマニアの民俗舞踊の旋律をふんだんに使って作り上げられた実に楽しい曲。生前のエネスクは作曲家としてよりヴァイオリニストとして名高かったようですが、ここではヴァイオリンはさほど活躍せず、オーケストラ全体で序盤の牧歌的な旋律から終盤の急速調な展開へと徐々に盛り上げて行きます。全4曲、合計しても38分ほどの短さですが、中身のなかなか詰まった隠れ名盤だと思います。
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ワーグナー/序曲・前奏曲集第2集

2013-11-04 10:44:59 | クラシック(管弦楽作品)
ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団によるワーグナーの管弦楽作品集第3集です。最初に聴いたのが「ニーベルングの指輪」ハイライト、続いて有名な「タンホイザー」序曲等の収録された序曲・前奏曲集でしたが、それに比べると本盤はやや地味な曲揃いです。とは言え、各曲ともクオリティはさすがに高く、ワーグナーの世界をさらに深く知りたいという人には格好の1枚と言えます。



1曲目は「タンホイザー」から第3幕前奏曲。あまりにも有名な序曲に比べると地味ですが、静かな中にもひそやかな盛り上がりを見せる曲です。2曲目及び3曲目は「パルジファル」から前奏曲と「聖金曜日の音楽」。ワーグナー最後の作品であり、歌劇ではなく舞台神聖祝典劇と名付けられただけあり、非常に宗教的で荘厳な雰囲気に満ちています。4曲目は「リエンツィ」序曲。一転してワーグナーが20代半ばで書いた初期の作品で、非常に若々しい雰囲気に満ちた活発な曲です。5曲目及び6曲目は「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から第3幕前奏曲と「優勝の歌」。この2曲はちょっと地味すぎるかな。最後の「ジークフリート牧歌」だけはオペラの挿入曲ではなく、独立した管弦楽作品です。ここでいうジークフリートとは同名のオペラのことではなく、ワーグナーの息子の名前だそうです。ワーグナーはかのリストの娘で指揮者フォン・ビューローの妻でもあったコジマとダブル不倫の末に結婚しましたが、そのコジマの誕生日のサプライズ演出のために作曲したのがこの曲です。妻と子への慈愛に満ちた実に穏やかで美しい曲ですが、それにしても何と贅沢な誕生日プレゼントなんだ!
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ショパン/ピアノ協奏曲第1番&第2番

2013-11-03 12:56:03 | クラシック(協奏曲)
ブーニンをご存知ですか?このブログを見てくださっているようなクラシック好きの方ならもちろんYESでしょうが、私と同じアラフォー世代ならたぶんクラシックに何の興味もない人でもおそらく知っていると思います。1985年のショパンコンクールで優勝。その様子が日本でも放映され、天才ピアニストとして瞬く間に時代の寵児となりました。当時中学生だった私はプロ野球が最大の関心事で、クラシックなど全く興味の範疇外だったのですがそれでもブーニン待望の来日!などとCMでやっていたのをよく覚えています。かつての諏訪内晶子さんとか最近の辻井伸行さんとか日本人演奏家が海外のコンクールで優勝してニュースになるのはよくあることなんですが、外国人の演奏家でなぜあそこまでフィーバーになったのかは正直謎ですね。その後のブーニンはと言うと、次々と出現する若手に押され、かと言って熟練したヴィルトゥオーゾと呼ばれる存在になった訳でもなく、もはや完全に過去の人という扱いですね。大成しなかった早熟の天才というのが冷徹な評価でしょうか?



さて、前置きが長くなりましたが、今日ご紹介するのはそんなブーニンが演奏したショパンのピアノ協奏曲第1番&第2番。演奏はカジミエシュ・コルド指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団です。録音は2001年、日本でのライブです。既に80年代のフィーバーからかなり時が過ぎていますが、日本での人気は根強く頻繁に演奏に訪れていたようですね。ブーニン同様、ショパンのコンチェルト自体も評論家の受けは決して良くないのですが、私のような素人からすれば曲も演奏もとても素晴らしいと思います。ショパンはオーケストラ作品をほとんど残さずほぼ全てがピアノ独奏曲ということもあり、2曲だけ残された協奏曲もオーケストレーションが稚拙であるというのが低評価の原因だそうですが、確かにグリーグやチャイコフスキー、ラフマニノフには劣るにせよ、メロディの美しさで十分にカバーしていると思います。2曲とも構成はほぼ一緒でやや哀調を帯びたドラマチックな第1楽章、ひたすら甘くロマンチックな第2楽章、そしてきらびやかなロンド形式の第3楽章で締めくくります。ライブ録音だけあって2曲とも観客の拍手が収められていますが、思わず一緒に拍手したくなる名曲・名演だと思います。
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