旅行記とは別の、津軽の話題。
ソフトバンクモバイルのCM「白戸(しらと)家」シリーズ。2007年6月から続いており、初期の頃は母(樋口可南子)は学校長をしていたはずだが今はどうなったのかとか、上戸彩が携帯販売窓口から会社の広告部門へ“異動”したのかとか、よく分からなくなっている。
現在は、「LTE」というサービスのCMが流れている。
歌手の「ELT」こと「Every Little Thing」が、LTEの宣伝のために「LTE」と改名して全国各地を回るという設定。
LTE自体よく分からないが、CMは地方を馬鹿にしたような雰囲気が漂い、あまり好きになれないCMではあるのだが。
公式サイトによれば、昨年12月7日から、青森県を舞台にしたLTEのCMが2パターン放送(全国で)されている。
街中っぽいカフェのようなシーンや、リンゴ畑の中でELTがライブをするシーンがある。
カフェのシーンでは、窓の外にお城の門らしきものと木の橋が写っている。門は弘前城のそれのようにも見えるが、道路際に木製の橋が架かるような場所はないはずで、合成ではないだろうか。リンゴ畑は、「弘前市りんご公園」だというネット上の情報もあり、そう言われればそんな雰囲気もしなくはない。【14日追記】記事末尾の追記参照
さて、2パターンどちらも終盤で、ライブを終えたELTの2人が、バスに乗っているシーンがある。
うっすら雪が積もった田んぼの中を走るバスが映った後、車内の映像に変わる。
バスの走行シーン(公式ホームページより)
ぱっと見て、このバスは弘南バスだと認識できたのだが、よく観察してみる。
拡大(テレビ画面を撮影)
車種は、いすゞエルガミオと共通でヘッドライトだけが違う中型バス「日野レインボー」。ここ数年、弘南バスが新車で購入する中型バスは、すべてこの車。昨年秋にも導入されたそうで、僕が先日訪れた時に弘前市内で見た。
前ドアに「出入口」と表示され、行き先表示機もそこに設置、中ドアには何も表示されていない(中ドアは車椅子乗降時しか使わないので)のも、実際の弘南バスと一致する。
正面の行き先表示には、けっこうたくさんの文字が表示されている(「回送」「弘南バス」「弘前駅」とかではない)が、判読できない。ナンバープレートや前輪の上の車両番号も判読不可能。
でも、よく観察してみると、塗装が実際の弘南バスよりも間抜けて見える。
本物はどうかというと…
反対側ですが同型車(52002-2号車)
側面の「K」をモチーフにしたロゴマークのうち、赤い部分が消えている。ほかに、正面フロントガラス下のロゴ(緑の部分も含めて全部)、側面の「KONAN BUS」「弘南バス」の社名表示もない。
撮影時にテープなどで隠したのか、CGで処理したのかは分からないが、実際の弘南バスの車両を撮影したもので間違いなさそうだ。
消した理由は、弘南バスのCMではないから、目立たないようにしたのだろうか。あるいは、側面の大きな「K」が認識されてしまうと、ライバルである「au by KDDI」を連想させてしまうから?
そして車内。
一目でおかしいと思った
それは、座席の柄。
水色の地に何かのイラストが散りばめられており、地デジテレビでは、はっきりと分かる。
吊り橋と帆船と塔、飛ぶカモメ
すなわち横浜ベイブリッジ、日本丸、横浜マリンタワー。どれも横浜市の名所。
どう考えても、青森の弘南バスの新車に採用される柄ではない。
また、にぎり棒が茶色いこと、降車合図ボタンがオージ製の旧型であることもおかしいし、2人掛け座席が後ろほど高くなっていることから大型バスではないかと考えられる。
弘南バスのレインボーでは、座席は水色系の細かい規則的な鱗のような模様の布地。背もたれは比較的高く、昔の秋田市営バスに近い(ただし厚さは薄い)。上部には白いカバーがかかっている。
それに、ユニバーサルデザインとして、にぎり棒はオレンジ色、降車ボタンは黄色のレシップ製が採用されているし、中型バスなので、後ろが1段ずつ高くなってはいないはず。
柄からすれば、車内は横浜市営バスのものと考えられ、外観とは別の車両で撮影されたことになる。
中古車として他のバス会社に移った後も、そのままの座席柄で使われるケースが少なくない。そのため、弘南バスが所有する、横浜市営バスの中古車で撮影されたとも考えられる。スケジュールの都合や、外観は新車で・車内は広い大型バスのほうが撮影しやすいなどの理由で、車内外で別の車両を使ったとか。
もう1つ考えられるのは、車内のシーンは東京で撮影した可能性。
ドラマや映画、そしてCMなどの撮影用に使う警察車両や消防車両など、特殊な車両を所有して、撮影会社に貸し出す商売がある。その中には、路線バスの中古車を所有する所もあるらしい。その会社が横浜市営バスの中古車を持っていて、今回の撮影に使われたのかもしれない。
などと考えていて、キムタクが出ている宝くじのCMを見て、はっとした。
バスの車内で、おばあさんに座席を譲るシーンがある。ソフトバンクとほぼ同じアングルなのだが、
これも横浜市営柄
しかも、ソフトバンクと宝くじのどちらのバスの車内も、握り棒や降車ボタン、窓枠に貼ってあるシール(危険!停車するまでお待ちください。)の位置まで、同じように見える。
宝くじ
ソフトバンク
両方のCMで、同一の車両が使われたのかもしれない。
CMは架空のお話なのだから、バスの外と中が違ってもいいとは思う。
でも、わざわざ「青森」を舞台にしているのに、その座席が「(神奈川の=青森にも横浜があるけど)横浜」の名所で、それがくっきり映ってしまうのは、制作会社や発注したソフトバンクの詰めが甘いと言わざるを得ない。
【14日追記】弘前市役所企画部広聴広報課「弘前市シティプロモーションサイト『いいかも!!弘前』」で「SOFTBANKの『LTE』のCM撮影が弘前に来ました!(2012.12.11)(http://www.city.hirosaki.aomori.jp/city_promotion/media/media/softbankltecm.html)」として紹介されていた。
「CMで流れているのは、弘前公園です!りんご公園です!弘南バスです!」とのこと。
【2018年12月1日追記】横浜市営バスの中古車は、その後も多くの映像に登場し続けている。2018年には、NTTドコモのCM(一休さんがモチーフ)にも使われた。
それにしても、車内だけとはいえ、見る人が見れば、降車ボタン、座席、手すり等から古いバスだと分かってしまうのに、いつまで使い続けるのか。そのことを発注する企業は気にしないものなのか。
ソフトバンクモバイルのCM「白戸(しらと)家」シリーズ。2007年6月から続いており、初期の頃は母(樋口可南子)は学校長をしていたはずだが今はどうなったのかとか、上戸彩が携帯販売窓口から会社の広告部門へ“異動”したのかとか、よく分からなくなっている。
現在は、「LTE」というサービスのCMが流れている。
歌手の「ELT」こと「Every Little Thing」が、LTEの宣伝のために「LTE」と改名して全国各地を回るという設定。
LTE自体よく分からないが、CMは地方を馬鹿にしたような雰囲気が漂い、あまり好きになれないCMではあるのだが。
公式サイトによれば、昨年12月7日から、青森県を舞台にしたLTEのCMが2パターン放送(全国で)されている。
街中っぽいカフェのようなシーンや、リンゴ畑の中でELTがライブをするシーンがある。
カフェのシーンでは、窓の外にお城の門らしきものと木の橋が写っている。門は弘前城のそれのようにも見えるが、道路際に木製の橋が架かるような場所はないはずで、合成ではないだろうか。リンゴ畑は、「弘前市りんご公園」だというネット上の情報もあり、そう言われればそんな雰囲気もしなくはない。【14日追記】記事末尾の追記参照
さて、2パターンどちらも終盤で、ライブを終えたELTの2人が、バスに乗っているシーンがある。
うっすら雪が積もった田んぼの中を走るバスが映った後、車内の映像に変わる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/73/4403c6bfcd6a9dc41fea6312588efcbb.jpg)
ぱっと見て、このバスは弘南バスだと認識できたのだが、よく観察してみる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/49/e53570fefc5dab93453eb7100e99b063.jpg)
車種は、いすゞエルガミオと共通でヘッドライトだけが違う中型バス「日野レインボー」。ここ数年、弘南バスが新車で購入する中型バスは、すべてこの車。昨年秋にも導入されたそうで、僕が先日訪れた時に弘前市内で見た。
前ドアに「出入口」と表示され、行き先表示機もそこに設置、中ドアには何も表示されていない(中ドアは車椅子乗降時しか使わないので)のも、実際の弘南バスと一致する。
正面の行き先表示には、けっこうたくさんの文字が表示されている(「回送」「弘南バス」「弘前駅」とかではない)が、判読できない。ナンバープレートや前輪の上の車両番号も判読不可能。
でも、よく観察してみると、塗装が実際の弘南バスよりも間抜けて見える。
本物はどうかというと…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/72/064113f0eddb26b1d6939f5ffdd18ca8.jpg)
側面の「K」をモチーフにしたロゴマークのうち、赤い部分が消えている。ほかに、正面フロントガラス下のロゴ(緑の部分も含めて全部)、側面の「KONAN BUS」「弘南バス」の社名表示もない。
撮影時にテープなどで隠したのか、CGで処理したのかは分からないが、実際の弘南バスの車両を撮影したもので間違いなさそうだ。
消した理由は、弘南バスのCMではないから、目立たないようにしたのだろうか。あるいは、側面の大きな「K」が認識されてしまうと、ライバルである「au by KDDI」を連想させてしまうから?
そして車内。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/97/c4c072013bdb3f0937e9ed39098e378b.jpg)
それは、座席の柄。
水色の地に何かのイラストが散りばめられており、地デジテレビでは、はっきりと分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/0e/14e8d6e171188463dbdb5cfce9221f6b.jpg)
すなわち横浜ベイブリッジ、日本丸、横浜マリンタワー。どれも横浜市の名所。
どう考えても、青森の弘南バスの新車に採用される柄ではない。
また、にぎり棒が茶色いこと、降車合図ボタンがオージ製の旧型であることもおかしいし、2人掛け座席が後ろほど高くなっていることから大型バスではないかと考えられる。
弘南バスのレインボーでは、座席は水色系の細かい規則的な鱗のような模様の布地。背もたれは比較的高く、昔の秋田市営バスに近い(ただし厚さは薄い)。上部には白いカバーがかかっている。
それに、ユニバーサルデザインとして、にぎり棒はオレンジ色、降車ボタンは黄色のレシップ製が採用されているし、中型バスなので、後ろが1段ずつ高くなってはいないはず。
柄からすれば、車内は横浜市営バスのものと考えられ、外観とは別の車両で撮影されたことになる。
中古車として他のバス会社に移った後も、そのままの座席柄で使われるケースが少なくない。そのため、弘南バスが所有する、横浜市営バスの中古車で撮影されたとも考えられる。スケジュールの都合や、外観は新車で・車内は広い大型バスのほうが撮影しやすいなどの理由で、車内外で別の車両を使ったとか。
もう1つ考えられるのは、車内のシーンは東京で撮影した可能性。
ドラマや映画、そしてCMなどの撮影用に使う警察車両や消防車両など、特殊な車両を所有して、撮影会社に貸し出す商売がある。その中には、路線バスの中古車を所有する所もあるらしい。その会社が横浜市営バスの中古車を持っていて、今回の撮影に使われたのかもしれない。
などと考えていて、キムタクが出ている宝くじのCMを見て、はっとした。
バスの車内で、おばあさんに座席を譲るシーンがある。ソフトバンクとほぼ同じアングルなのだが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/a8/9e9dedd33eab142c18eb94d6441f1585.jpg)
しかも、ソフトバンクと宝くじのどちらのバスの車内も、握り棒や降車ボタン、窓枠に貼ってあるシール(危険!停車するまでお待ちください。)の位置まで、同じように見える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/60/daea1a21ed32f7d43de5d568ad8ad024.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/1c/cbc64f3cb18fe87d3415a9e754093594.jpg)
両方のCMで、同一の車両が使われたのかもしれない。
CMは架空のお話なのだから、バスの外と中が違ってもいいとは思う。
でも、わざわざ「青森」を舞台にしているのに、その座席が「(神奈川の=青森にも横浜があるけど)横浜」の名所で、それがくっきり映ってしまうのは、制作会社や発注したソフトバンクの詰めが甘いと言わざるを得ない。
【14日追記】弘前市役所企画部広聴広報課「弘前市シティプロモーションサイト『いいかも!!弘前』」で「SOFTBANKの『LTE』のCM撮影が弘前に来ました!(2012.12.11)(http://www.city.hirosaki.aomori.jp/city_promotion/media/media/softbankltecm.html)」として紹介されていた。
「CMで流れているのは、弘前公園です!りんご公園です!弘南バスです!」とのこと。
【2018年12月1日追記】横浜市営バスの中古車は、その後も多くの映像に登場し続けている。2018年には、NTTドコモのCM(一休さんがモチーフ)にも使われた。
それにしても、車内だけとはいえ、見る人が見れば、降車ボタン、座席、手すり等から古いバスだと分かってしまうのに、いつまで使い続けるのか。そのことを発注する企業は気にしないものなのか。