広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

白い桜/大きい榎

2013-05-25 23:10:04 | 動物・植物
ツツジが咲き、木々の緑が濃くなりつつある秋田の木から2題。
●白い桜(ちょっと古い話題です)
ソメイヨシノが散った頃、千秋公園の西斜面北側に真っ白な木が1本あるのに気付いた。コブシの花も白く見えるが、それよりも白い。
左側
位置的には千秋矢留町や保戸野方面から見えることになるが、家並みに遮られて見られる場所は少ない。

現地へ行ってみると、市立明徳小学校裏側へ上る階段のところだった。
 
遠くから見たよりは、小さく感じた。

今年のソメイヨシノよりはびっしりと花が付いてる?
山桜の1種ではあるかと思うが、こんな真っ白な桜は初めて見た。わりと大きな花。
風が強くて乱れています
「カスミザクラ」だろうか。
花が咲いた木を遠くから見ると、霞のように見えることから名付けられたそうだが、たしかにそう見える。

なお、カスミザクラと近縁で、桜餅の葉っぱや、いくつかの桜の園芸品種の親である「オオシマザクラ」かもしれない(葉の毛の有無で識別するそうだが、よく分からなかった)が、だとすれば秋田には自生しないので人為的に植えられたことになる。
何度か取り上げているように、千秋公園西側は公園としての整備の手はあまり入っていない。そんな場所ならではの、美しい桜だった。

2015年の様子
※周辺の白い桜については、こちらこちら八重桜並木に混ざって咲くものも。
秋の紅葉もきれい


●大きいエノキ
昨年取り上げた、「エノキ」の木。秋田ではあまり多くないと思う。
今春、秋田市内のエノキを見てみると、芽吹きは遅い。同じニレ科(属は別)のケヤキやハルニレの葉は若草色から濃い緑色になりつつある中、エノキはまだ枝が見えている。

ネムノキやムクゲ、あとハンノキもそのようだけど、エノキも芽吹きが遅い木の1つと言えそう。
エノキは落葉は早い。つまり、葉っぱが茂っている期間=光合成して生長できる期間は他の木より短い。どことなく照葉樹っぽい趣もあるし、本来は暖地向きであまり秋田の気候に適していないのかもしれない。

昨年記事にした時、コメントで土崎の「寺小山公園」という所にもエノキがあると教えていただいた。
秋田市環境部環境保全課が、2001年度に市民から募った情報などから作成した「秋田市木かげマップ」にも掲載されていて、「土崎港中央7丁目寺子山のエノキ(原文ママ)」となっている。
また、秋田県教育庁生涯学習課文化財保護室の「秋田県遺跡地図情報」によれば、木がある付近は「寺小山」という縄文時代の遺跡になっている。
そして、このエノキは秋田市の保存樹に指定されており、指定時の1989年3月20日付広報あきた1130号では、「土崎港中央七丁目にあるエノキ(秋田市所有)」で「安東氏が築城のおり、この地を見張り台として使用した時に植えたといわれている。樹高7.3メートル、幹周2.4メートル。」とある。土崎を治めていた安東氏の築城時期は正確には分かっていないようだが、西暦1400~1500年代頃のことらしく、言い伝え通りなら相当の樹齢になる。
線路沿いから見る夕暮れの寺小山。中央右がエノキ
奥羽本線の線路から見える、ちょっと小高い場所にきれいな形の木があるのは知っていたが、それがそういう場所で、そういう木だとは知らなかった。エノキでなく桜だと思い込んでいた(隣に数本のソメイヨシノがある)。

そんな由緒ある木だと分かったからには、行ってみることにした。
土崎駅から歩いて行かれる距離ではあるが、入り組んだ複雑な場所。奥まっていて周囲から隔絶された場所にも感じるけれど、線路から見えるし周りには民家もある。なんとも不思議な空間だ。
秋田市の都市公園にあるものに似た標柱が立ってはいるが、取れてしまったのか文字はない。秋田市の都市公園のリストにもこの場所は出ていない。途中の道は草ぼうぼうだけど、エノキの周りはしっかりした遊具や水道があり、掃除やきれいなユキヤナギの生け垣など日頃から手入れされている形跡もある。そんな意味でも不思議な場所。

場所についてはこのぐらいにして、エノキを観察。
5月5日。ユキヤナギに囲まれ、手前はサクラが見頃だけど、エノキは枝だけ

現在。若葉が茂る
他のエノキでも感じたけれど、枝ぶりはどことなくケヤキっぽくもあるが、より細かいのが特徴的か。さらにこのエノキは、縦よりも横方向に悠々と枝を広げた姿(これがエノキ本来の樹冠なのか)が美しく、秋田では珍しい形の木。
日立の「この木なんの木」シリーズに出てくる木に見えなくもない。(日立の樹としてはネムノキの仲間が有名だが、かつては別の木が登場したこともあった)

よく見ると、
葉が出たばかりで開き切っていない
さらによく見ると、
花殻
ケヤキやハルニレと同じく、芽吹きと同時に花が咲くらしい。
【26日追記】エノキは1本の木の中で性別の違う花を咲き分ける「雌雄異花」だけど、少し変わっているらしい。雄花と雌花でなく「雄花」と「両性花」が咲くという(こういう咲き方の植物は他にもたまにある。ケヤキは雄花・雌花・両性花の3つが咲く?)。
たしかに、このエノキにも花殻が2タイプあった。


堂々とした幹
やはり相当の樹齢なのかもしれない。湊町・土崎の町の変遷を見届けてきたわけだ。

エノキはこれからさらに緑が濃くなりそう。

一説には、横に広い樹冠のエノキが夏に広い木陰を作ることから「榎」という漢字になり、その目的で旅人の休憩所として一里塚に植えられたのだとか。
寺小山は海風が吹き抜けそうだし、地面は草。夏に涼む場所として好適地かもしれない。

黄葉のようす
コメント
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