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E6系初乗車

2013-09-12 23:57:27 | 秋田のいろいろ
北海道旅行記もまだ途中ですが、秋田新幹線E6系電車に乗車する機会があったので、先にアップします。
「スーパーこまち」でなく「こまち」として運転されるE6系に、秋田から盛岡まで乗車した。(在来線区間なので、スーパーだろうがなかろうが、特急料金や運転速度は同じ)
こまちは全席指定だが、秋田-盛岡の区間内を利用する場合は、通常期指定席料金の510円引きで、空席に座ることができる「特定特急券」制度がある。自由席がないことへの救済策。秋田-盛岡は2290円-510円=1780円。
ところが、利用した日は閑散期。指定席特急料金が200円引きになる。さらに、「えきねっと」で指定席を予約して券売機で受け取れば「えきねっと割引」が適用されて、秋田-盛岡は300円引き。
つまり、2290円-200円-300円=1790円。なんと、特定特急券との価格差はわずか10円になってしまうのです!(さらにえきねっとのポイントが50円相当付く)
ということで、座席指定を取った。ちなみに、秋田-盛岡の乗車券は2210円なので、合計ジャスト4000円。

初めて乗ったE6系は、日立製作所製の「Z4」編成。6月4日に大宮止まりで運転されていたヤツだ。
大曲側先頭・普通車17号車の「E621」形
反対側の先頭車11号車は、日常的に東北新幹線と連結するので、自動でカバーが開閉する連結器が収まっている。こちらの大曲側の先頭車は、通常は使用しない(非常時しか使わない)ので、E3系では自動開閉のカバー(縦方向の割れ目)がなく、フタがついているだけ。E6系の量産先行車でもそうだったはずだけど、Z4編成では反対側と同様の割れ目がある。電動で開閉するのかどうかは分からないが、量産化で構造が変わったのだろうか。
少し高さを変えれば、また違った表情
外観は何度か見ているけれど、やはりカッコイイ。

まだ新車のニオイが漂う車内へ。
予約時にいちばん空いている車両を選んだら、17号車だったのでさらにその隅っこを確保。
17号車は鼻が長い分、8列しか席がない。定員32名。
黄色い座席が目に飛び込む
客用ドア・デッキは16号車側だけで、逆側の端はどん詰まりで運転台へのドアがある(この点はE3系16号車でも同じ)。
※次の大曲駅での方向転換(スイッチバック)に備えて、秋田始発の時点で座席は後ろ向きにセットされています。
運転台側からデッキ方向
E6系普通車の車内は、「実り豊かな秋田の大地をイメージし、「稲穂の中を分け入るときの高揚感」を味わえる空間。腰掛を黄金色の稲穂に、通路を田んぼのあぜ道に見立てました。」。
通路の床面には、イネの葉のような模様が入っている。デッキへのドアのガラスには、
稲穂

ちなみに、E3系の車内。
再掲)改めて見ると窓が大きい!
E3系では、座席は黒系統(15・16号車は青系統)で、壁や天井はグレーがかった白。
天井の模様や荷棚の支柱が目立って、少しうるさくも感じた。

E6系では、壁や天井は(E3系よりは黄色っぽい)白系統。妻面(デッキや運転台へのドアの周り)は明るい木目調。E3系ではここは黒い木目だった。
E6系は窓が小さくなっているものの、第一印象としては、すっきりと明るい車内に感じた。

荷棚(網棚)は板状のもの。E3系も板状だったものの、置き忘れを防止する目的と思われる、水玉模様の入った透明な部分があったが、E6系ではそれがなく、天井に鏡状の金属の帯が伸びていた。荷物を置くとそれに映って、荷物の存在が下から見て分かるので、やはり置き忘れ防止のためだろう。
車体の断面形状のためか、荷棚の高さ(=荷棚から天井までの荷物を置くスペースの天地方向)がやや小さいように感じた。

では、座ってみましょう。
E6系普通車の座席。やっぱり窓が小さいな…
黄色地に濃くて細かい模様が規則的に入る生地のほか、肩の部分が前にせり出したり、頭の部分が上下に動く枕状になっているのが特徴的。一見すると、今までの普通車座席よりグレードが高く、グリーン車っぽく感じなくもない。
座席の間隔は98センチで、E3系の12~14号車と変わらないが、なんとなく少し広くなったような感じもしなくはなかった。(E3系の15・16号車は91センチ)

ここでおことわり。
座り心地、乗り心地には感じ方に好みや体調による個人差があるでしょう。また、座席業界のトレンドや各鉄道会社の方針や好みもあるようです。
座り心地に関する僕の好みとしては、腰が弱いので腰のフィット感・ホールド感がしっかりした、やや硬めのものが好きで、その点ではここ10年ちょっと間のJR東日本の座席は気に入っていた。背もたれが高めで、周囲と適度に隔離された感じがするのも好ましかった。

E6系の黄色い座席は、見た感じでは、今までのものと同様かそれ以上に厚さがあってどっしりとしているかのよう。
ところが、座ってみると、妙に「軽く」感じてしまった。クッションがスカスカしていて薄っぺらいような。系統としては、JR東日本らしいホールド感があるにはあるんだけど、今までとはちょっと違うというか。
E6系に限らず、さらなる速度向上と効率化が求められている新たな新幹線車両では、車体を軽量化するため、窓を小さくして座席を軽くするのが流行っているようで、その結果なんだろう。
小さい窓と枕
可動式の枕は、グリーン車ではE3系など15年ほど前から採用されている。何度か使ったことがあるけれど、ふかふかして使い心地が良かった。普通車では、JR北海道の指定席で使われ始めた程度。
北海道のにしても同じだったが、E6系においても普通車の枕では、グリーン車の枕には及ばないようだ。動かせることはいいとして、クッション性には期待しないほうがいいかも。

枕とそのカバーは、ベージュ色。
E3系のヘッドレストカバーは、黄色いものが使われているから、新調したことになる。
ちなみに、E3系こまちで自由席があった当時は、青い座席の自由席が黄色いカバー(現在と同じ)で、黒い座席の指定席はオレンジ色のカバーだったはず。それ以前は枕カバーといえば白しかなかったから、とても斬新に感じたものだった。

枕が上下する仕組みが不思議だったが、E6系普通車ではファスナーを使っているようだ。
常に閉じた状態のファスナーを背もたれ本体に2列に縦に並べ、コマが枕側に付いている模様【ファスナーの機構についてはコメント欄参照】。動かすと、ファスナーを動かしているような手応えと音がする。今後ずっと使っていると、2つがズレて傾いたり、ファスナーが壊れたりしそうだけど、大丈夫でしょうか。
E3系などのグリーン車の枕では、もっと滑らかに上下するような気がしたので、仕組みが違うのかもしれない。
枕は、車内整備時はいちばん下の位置で揃えられていた。枕が上下することについての説明書きはなく、知らない人は知らないままの可能性がある。(E5系には説明書きがある)

それから、JR東日本の特急の座席で標準化しつつあった、ボタンを押して座布団を前後させて任意の位置で固定できる「座面スライド」機能は廃止された。(E3系では後期製造分にのみ搭載)
E3系前期製造分やリゾートしらかみなどと同じ、背もたれが倒れるだけのリクライニングに戻ったことになるが、座面スライドは僕は使ったことがない(動かしても差が分からない)し、経年でガタつく場合もあるようなので、これはなくてもいいかもしれない。

背もたれを後ろから
背もたれ裏側のアイテムは、小物掛けフック、テーブル(5kgまで【2017年3月21日追記】東海道新幹線N700系では、見た目はさほど違わないのに倍の10キロまでと表記)、網袋、ペットボトルホルダーと、一通り揃う。
リゾートしらかみの新しい青池編成と同じ構成。E3系後期車と比較すると小物掛けが新設されて、フットレストが廃止された。
テーブルに貼られた注意書きは「列車内では、キーボードの操作音など、まわりのお客さまのご迷惑とならないようにご配慮ください。」と「シートを回転する時にはテーブルをはね上げてください。」が今までになかったもの。前者は時代の変化、後期はスイッチバックで途中で向きが変わる秋田新幹線ならではのもの【訂正・E5系にもありました】か。

そして背もたれ上部の取っ手。
E3系の前期車では、元自由席だった15・16号車にだけ、「L」字を90度回転させたレバー状のもの。E3系後期車では、全席に側面に「コ」の字のものが設置されていた。他の形式では、キノコみたいなものもある。
E6系では、かなり大型のあまり見たことがない形状のものが採用されている。つかむ部分の幅や高さからして、大きいからといって別段つかまりやすいというわけでもないと思うけれど。

さて、網袋のことですが。
昔の秋田の特急列車(製造当初の485系電車)では、テーブルがなく大きな網袋だけが背もたれに付いていた。何かと便利だったが、E3系の前期車では、テーブルは付いたものの網袋が廃止されて、代わりに太いゴムベルト(ゴムパッチン用みたいな)になった。
ゴムベルトでは、車内誌やペットボトル1本くらいなら挟むことができるものの、網袋よりは用途が限られてしまった。それが不評だったのか、E3系の後期車では網袋が復活している(昔のより浅くなった)。
E6系でも網袋は踏襲されたのだが、
右側のぴょんとはみ出た輪っか状の紐は?
最初見つけた時、網の紐がほつれているのかと思ってしまったが、そうではない。紐でなく、伸縮性のあるゴムひもが別にちょこんと付いているのだ。
これに何かを引っ掛けて使うためなんだろうが、その「何か」が何か分からない。何だろう?【2022年10月10日追記・「傘」らしいのだけど、不安定そう…】

あと車内で目新しいものといえば、
フルカラー化(従来は3色)&大型化された文字情報装置
発車前などは2行で表示でき、それでもE3系などの従来の装置よりも文字が大きい。かろうじて明朝体っぽく見える書体は同じか。
1行表示は巨大な文字
主に発車後は大きな文字で1行で表示。東海道新幹線のと同じだろうか、昔のワープロ専用機を思わせる明朝体。
車体が長いフル規格新幹線では、このぐらいのサイズでないと後ろのほうから見えないけれど、この8列しかない17号車では、かなり大きく感じた。
文字色は、停車駅など列車の案内に関するものは白色文字(従来はオレンジ色主体)。ニュースや広告のたぐいは、従来通りオレンジ色で表示される。

さて、乗り心地。※秋田-盛岡の乗車なので、在来線区間に限っての話。新幹線区間ではまた違うでしょう。
悪くはないが、E3系とそんなに違わないかな。静かといえばそうだけど、E3系もそんなにうるさくはないはずだし。カーブなどで「ごりごりごり」という音が床下から聞こえたが、E3系でもそうだったっけ?
発車時に動き出す時は、E3系以上に滑らかで、かつ力強いと思った。

E3系では、先頭車の運転台寄りに座っていると、運転席の音(レバーの操作音や各種機器の警告音)が聞こえてきたものだった。E6系は構造上、客席と運転席が離れている(ドアの向こうがすぐ運転席ではない)ためか、車掌との連絡用ブザー以外の音は聞こえなかった。


初めてのE6系乗車は、あまり居心地は良くなかったのが正直な感想。
実はこの時、体調がやや優れなかったことも原因だと思うのだけど、座席の座り心地が思ったほど良くなかったことに加え、窓が小さかったり(閉所恐怖症ではないのですが)、ずっと乗っていると座席の色がややドギツく感じられたりしてしまった。
裏を返せば、それだけE3系の完成度が高かったのだろうか。


この後、「はやぶさ」にも使われるE5系にも初乗車しました。盛岡までの車窓の模様などと併せて、別記事にて

【13日追記】書き忘れていたこと。
E6系には、パソコンや携帯電話充電に使えるコンセントが、各列の窓下・床近くの壁にある(2席につき1口だから、実質的に窓側席の人用)。緑色LEDが点灯。電圧変化や停電がある旨の注意書きあり。(盛岡駅に出入りする高架の坂の途中など、電源が切り替わる箇所があり、そこでは瞬間的に停電する可能性がある)

最後に、秋田新幹線におけるE3系とE6系の普通車の座席周りの装備の違いをまとめておきます。
E3系前期製造車 / E3系後期製造車 / E6系 の順。
座席回転方法 肘掛け後ろのレバー / ペダル / ペダル
背もたれの手すり 15・16号車のみ上部に「L」 / 側面に「コ」 / 上部に大型
座面スライド × / ○ / ×
肘掛け表面 レザー風のクッション / プラスチックそのまま / 同左
フットレスト × / ○ / ×
ペットボトルホルダー × / ○ / ○
小物掛けフック × / × / ○
網袋 ゴムベルト / ○ / ○


【14日画像追加】E3系の前期製造車の元自由席(青いシートが91センチ間隔で並ぶ、15・16号車)の写真を追加します。
(いつもより広角で撮影。右側の座席はリクライニングした状態)
網袋代わりのゴムベルト、背もたれの取っ手、肘掛け表面の加工などが分かる。肘掛けの下にカバーが付いているのも特徴。
座席間隔が狭い分、窓の間隔(幅が狭い?)も12~14号車とは異なる。

【16日改めて追記】
ネット上で感想を拾ってみると、「E6系の座り心地は、E3系よりも良くなった」という声が多いようだ。(車両そのものの「乗り心地」と混同している可能性もあり得るけれど)
僕は1回だけ乗っての感覚なので、次に乗ったらまた違う感想になるのかもしれない。でも、あまり期待しないほうがいいようにも思います。
次の記事で取り上げる通り、座席間隔はE5系のほうが広くてゆったりしているので、両者を選択できるフル規格新幹線区間なら、あえてE6系を選ばなくてもいいかと…

※その後、2度目の乗車の際(フル規格区間を含めた長時間乗車)は、また違った印象を持ちました。
コメント (6)
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