広く浅く

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新聞の誤りを指摘

2015-02-22 14:01:48 | 秋田のいろいろ
新聞の間違いについての、揚げ足取りの記事です。
新聞記事を作るのは人間。間違ってしまうことは仕方がない。
しかし、上司がチェックし、校閲部門がチェックするはずであり、それをすり抜けるとは、彼らのプロ意識に問を感じる。(素人でも気づいてしまう単純ミスなら特に)
新聞は、図書館などで資料として永久に保管されるし、最近は教育現場で活用(NIE)されることもある。間違いが後世の人々に誤解を与えてしまいかねない。

読者からおカネを取る新聞で間違いがあれば、読者としては正しくないものにカネを支払っていることになる。例えば食品なら、中身は安全でも賞味期限(消費期限よりも長い)表示が間違っていただけで回収・返金騒動になるのに…



読者としては、間違いに気づいてしまった場合、教えてやるべきだと考える。単純な誤字脱字はともかく、誤解しそうな文章や誤った事実の箇所を指摘するのは、新聞社のためにも後々の読者のためにもなる。
ほとんどの新聞社において、メールフォームなどで問い合わせや意見を送ることができるから、費用をかけずに迅速に伝えることは可能だ。

ここでもう1つ問題にしたいのは、新聞社の読者からのメールへの対応である。
一般企業や役所なら、返信先が分かって筋が通った内容のメールが客から届けば、基本的には何らかの返事をよこすものだ。(たまに無視する所もありますが…)それが送った人(=客)への礼儀でもあろう。
だいぶ前だけど、僕は秋田魁新報の紙面の内容について、メールフォームから意見というか要望というか提案を送ったことがあった。メールアドレスと実名を添えて。
内容としては、大したことがない、ちょっとした連載というかコーナーについての改善案。別に報道姿勢がどうこうとかの小難しいことではなく、容易に改善できるはずのことであった(実施済みの県外他紙の例を示した)。
ところが、返事が来ない(しかも改善もされなかった)。

仮に、要望に応えられないとか具体的な内容の返信が出せないにしても、気の利いた企業や役所ならば、「いつもご利用(ご購読)いただきありがとうございます。ご要望の件につきましては、貴重なご意見としてうけたまわり、今後に活かして参ります。今後ともよろしくお願いいたします」ぐらいの返信はする。遠回しに「できないよ」と言われているが、それなりの誠意は伝わるものである。

魁だけでなく、秋田県外の某地方新聞社へ別件の要望をした時も同様の対応だった(こっちは有料購読者じゃないから、客ではないと判断されたのかもしれないけど…)。
ということは、新聞社というものは、読者から意見されるのは迷惑なのかなと考えて、以後、新聞社に意見を送るのも、誤りを指摘するのもやめていた。


ところが、最近の秋田魁新報は、誤った内容の報道(根幹から覆されるような重大誤報ではない)がままある。小さなことだけど、このままにしたくはないと思い、おせっかいなのだろうが、またメールフォームから送信してみた。
以前の件からすれば、返事もよこさない企業に名前など教えたくない。そこで実名は知らせず、メールアドレスは入力して、間違いを指摘したことが3度あった。

予想通り3度とも返信はなかったが、3度とも指摘した翌日の紙面に訂正が掲載された。
うち2度は、当該記事の発行日当日ではなく、2~3日経過してから誤りを指摘して、その翌日に訂正が載ったから、他からの指摘ではなく僕の指摘を受けての訂正だと考えられる。

返信がないのは、紙面に訂正を掲載したことで返信に替えたと好意的に解釈できなくもない。
しかし、誤った記事が後世に残ってしまうところだったのを指摘によって回避できたのだし、返信メールの二次利用ががうんぬんというのだとしても、誤ってしまったのは紛れもない事実、読者からの指摘で発覚した(気付いた)のも事実なんだから、「ご指摘の通り間違っていました。明日の紙面で訂正をします。ご指摘ありがとうございました」と返事をすれば済むのではないだろうか。新聞社の驕(おご)りを感じてしまうのは、僕の驕りだろうか。
【22日追記】ホームページには、意見の「内容によっては回答できない場合がある」とあるが、本件は、紙面に掲載された訂正がそのまま回答に相当し得る。だから「回答できない」ケースではない(読者全員には回答できて、指摘した個人には回答できないとは本末転倒)。個別に回答しても、何の問題もないと思うのだけど…



僕が指摘させてもらった3度というのは、
・2014年3月15日付社会面「あけぼの」定期運行終了の記事
機関車のことを「先頭電源車」という意味不明の造語(?)、最後尾は電源荷物車なのに「最後尾の寝台車」と事実と異なる表記。
ある意味専門用語だから、記者が鉄道に疎くて知らなかったのだろう。

・2014年後半辺り? 社会面で秋田市の大町だか通町の商店街が美大とコラボして装飾しただるまさんを飾るという記事
商店街の栄枯盛衰の歴史に触れた箇所で、秋田ニューシティ(だったかダイエー秋田店。どっちでも同じことだけど)のオープン年を5年、間違って掲載。別にオープン年なんて不要な記事に思えたが、蛇足になってしまった。
ニューシティオープン当時は、ニューシティのすぐそばに魁の本社があった。発行前に記事を見た古参社員の誰かが「あれ? ダイエーができたのって、その頃だったっけ? 俺が魁に入社してx年目で○○部にいた時だったから… 間違ってるぞ!」などと気づく可能性もあったのではないだろうか。

・2015年2月17日付経済面「バス運転手確保に苦心」
実はこの記事の誤りは、僕が気づいたのではなく、他の人が指摘していて知ったもの。その人が魁に言うつもりがないようだし、上の2つと違って、どこをどう間違えたのか予想できない間違いでもあったので、それを知りたくて指摘した。

秋田県内のバス会社のドライバー不足の記事。
記事の最後で、「県内のあるバス会社」の話として「乗客の減少と歩調を合わせるように、運転手の給与は30年ほど前をピークに下降線をたどり、現在は最盛期の8分の1に落ち込んだという。」とある。

おかしいのは、「現在は最盛期の8分の1に落ち込んだ」の箇所。
その主語は「運転手の給与は」だろう。
つまり、「昔(最盛期)のバスドライバーの給料は、今の8倍あった」と読み替えできる???
仮に今が年収200万円だとしても、昔は1600万円もあったわけはない。
「最盛期の8割に落ち込んだ」のなら、分からなくもないが、それも違いそう…


指摘した翌日である20日付経済面に「訂正」が出た。9行と2文字でちょっと長め。
当該箇所は「誤りでした。」とし、「取材したバス会社によると、バス運転手の給与はほぼ横ばいで、8分の1に落ち込んだのは乗客数でした。」と説明? 釈明?している。

ならば、この「8分の1に減った」うんぬんは不要な文章だったのではないだろうか。
客が大きく減ったからには運転士の必要人数も減るわけで、それなのに人手不足(乗客減で人手不足が軽減されていると考えることもできる)なのだし、そもそも給与はほぼ変わっていないのだから。
「取材したバス会社によると」と前置きしているのは、バス会社の話のせいで間違ったんだと言い訳しているようにも受け取れそう。
単語単位の訂正とか、文章差し替えでなく、元の文は「撤回」ということだろうか。

オンライン版にも、この記事の一部が掲載され、当該箇所はそのまま載っていた。こちらは断りなしに修正(元の文を消して新たな文に書き換え)された。

上が修正前、下が修正後
修正後は、続く文章(全産業の平均と比較して、バス運転士の給与が2割低いという内容)と脈絡がなくなってしまっているような…

僕自身が、この箇所を読み流してしまっていたので偉そうに言う資格はないけれど、新聞社の人たち、自分の発言を“改ざん”されたも同然である「県内のあるバス会社」の人が紙面を読んだ時などにも、スルーしてしまったのだろうか。


朝日新聞では、昨年の大誤報の反省か、訂正記事に間違った理由を書き添えるようになった。
「勘違いして」「~であると思い込んで」というのがけっこうある。
「編集の際に間違えました」とかいうのは、入力ミス・変換ミス(そして校閲ミス)だろう。投稿欄の投稿者の住所を「東京県」としたのがあった。
【3月6日追記】朝日の間違った理由で、上記「勘違い」などに続いて「確認も不十分でした。」とあることもある。これは校正で見落としたという意味だろう。
魁もこの方式を採用したら、どのような理由を示すだろうか。


ところで、秋田魁新報では、縮刷版は発行していない。
図書館では、紙面の実物やマイクロフィルムで所蔵することになる。
後世の人が、この記事のこの箇所を読んだとする。そこは間違っているのだが、訂正が出ているのは翌日ではなく3日後の紙面。気づいてくれるだろうか。
図書館側で、「ここは誤りです。20日付に訂正があります」と紙を貼ったり、マイクロフィルムに「リンクを張る」ような配慮・対処でもするものだろうか?


繰り返します。
間違うのは仕方ないし、発行までの時間が限られているのは分かる。でも、新聞は読者からカネをもらって発行し、後々まで残る(文章の実体としても、読んだ人の記憶としても)もの。極力間違いが生じないよう、プロ意識を持って充分に確認をしてほしい。
そして、僕はこれからも、(てにをはのような誰でも分かる間違いは別として)気づいたら指摘させてもらいます。

【4月1日追記】朝日新聞では、2015年4月から「訂正・おわびを原則、社会面に掲載」することにした。(別刷りを除く)「よりわかりやすくお知らせするため」とのこと。【4月4日追記】通常記事の2段分を使って枠で囲み、「訂正して、おわびします」というタイトル。
コメント (2)
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