goo blog サービス終了のお知らせ 

麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

横光利一と櫂人

2015年05月14日 | 鑑賞
料理を提供する店において、
どんな材料を選ぶかは重要だ。

演劇における戯曲の選定は、
同義ではないが肝要という点で
大きな意味を持つ。


さて劇団櫂人は社会人劇団だ。
けれども。
レパートリーを選ぶ目は凄い
プロ顔負けである。

働きながら演劇を愉しむ集団の場合、
まず書店や図書館等で手に入る本や、
人気劇団のヒット作品、あるいは、
実際みて面白いと思った作品……
てなあたりを上演するのが普通だ。

ところが櫂人は・・・
ブレヒトの『例外と原則』、
三遊亭円朝の『怪談牡丹燈籠』
イヨネスコの『犀』という、
かなり渋い作品に挑戦してきた。

そして今回は横光利一だ。

横光は、志賀直哉とともに
「小説の神様」とまで称され、
川端康成らと「新感覚派」を牽引。
代表作『機械』はその頂点と評される。
のだが……志賀や川端に比して
わりと地味な作家ではないかしら。

「そんなことはないよ、
鉄人28号は傑作だよ!」と
憤る御仁もあるだろう……。
が、それは横山光輝。
まあ、似ていなくもないが

その横光に11編の戯曲があるという。
うち3編をアトリエで上演。
隔週月曜日という変則公演で
『閉まらぬカーテン』『男と女と男』の
同時上演と『日曜日』を単独で。
いやはや驚きである

例えるなら、スーパーに入ってすぐ
どどんと並べられた人気の果物を
籠にひょいと取るのではなく、
少生産量のため市場に出回らない
絶品素材を自分の足でみつける。
・・・そんな感じだろうか。

闇雲に日本各地を探した結果…
ではなく、演劇に長けた人物が
知恵袋として背後にいるという
手品のねたを握っている、
そんな利点があるにはあるのだが…。

旗揚げ以来指導にあたり、
この公演でも演出を務める篠本賢一。

過日『閉まらぬ~』『男と~』の
一班を拝見したが、今回も
役者の能力を最大限に引き出す
コンダクターぶりを示していた。

その熱血指導(?)に応える俳優陣が
また大したものなのだが・・・
まだ6人見ただけなので、
役者評は別の機会に譲ります。

ただ、ひとついえるのは・・・
1ドリンク付きで1800円は安すぎる。


詳細はこちらをどうぞ。
http://www.gekidankaito.com
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする