麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

未必の故意とROSE

2015年05月17日 | 鑑賞
本日は『ROSE』
シアターΧにて14時開演です。
日曜日の午後、予定のない方は是非。
観劇後は、両国から浅草あたりの
散策にも良いお天気です。



さて、東京の反対側、武蔵関の
ブレヒトの芝居小屋で同時刻に
幕をあけるのが《東京演劇アンサンブル
スープ劇場Ⅷ》『未決の故意』
作/安部公房
上演台本・演出/尾崎太郎
照明/真壁知恵子
美術/三木元太

体はひとつしかないので昨夜、
ゲネプロを覗きに行った。
……本番は完売だそうで、
いずれにしろ観るなら昨日だった。

中堅俳優の尾崎太郎が初演出に挑んだ。

濃い二枚目で、時代の流行からは
少しずれているけれども、
また人柄ものんびりしていて、
ついこないだまでは座内でも
大人しい存在に見えたのだが、
最近めっきり本気を出して(?)
眠れる獅子が目覚めたと専らの評判だ。

そして。
舞台は大胆な美術に、エレガントな照明、
音響は繊細で、それらをまとめあげた
演出ぢからは逞しく、いや驚いた。


処女作には総てが注ぎ込まれるから
作家はそれをなかなか越えられず
苦労する者が多いけれど、
早くもそんな心配をしてしまうほど
《感嘆の演劇》と呼べる成果でした。


たった一つ、苦言を呈すると……
余りに衝撃的で苦い作品なので、
観劇後に「スープを飲みながら~」
って気持ちにはならないのかも、と。

是非、本公演に取り上げて、
たった一日きりではなく、
もっと多くの人に見て欲しい舞台

ざっくりアウトライン。

閉鎖的なコミュニティー「菊の島」。
スナックやパチンコ屋、映画館など
手広くを経営していた江口が
集団で撲殺される。

江口は異邦人で気性が荒く、
島民達の脅威であった。
個別の事情を抱えながらも、
集団の論理に飲み込まれて行く島民達。

島に縛られている障害者の青年三人。
本土から来た教師。
江口と結ばれる事を夢想していた少女。

いったい何が起きたのか?
……夢と愛情への哀惜の物語。
コメント
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