前回紹介した隅田川馬石師匠の、
初高座のネタは『道灌』であった。
江戸城を造ったことで知られる
武将・太田道灌が急な雨に遭い、
簑笠でも借りようとあばら家に寄る。
と、娘が出てきて、貸す簑すらないと
和歌に託して謝るという逸話を
基とした長屋咄が『道灌』なのだが、
私の住む豊島区内の面影橋近くに碑。
ただ「その地」と謂われる場所は
他にも埼玉県越生町などにある。
道灌は、我が故郷の川崎にも伝説を残す。
川崎市幸区にある夢見ヶ崎という地名は、
彼が築城の候補と決め、野営した時に
一羽の白鷲が兜を掴み飛び去るという
不吉な夢を見て断念したことに由来する。
城に適した小高い岡は今は小さな動物公園。
近くの南加瀬に親戚がいて、何度も訪れた
個人的にも思い出深い場所だ。
再び落語の『道灌』に話を戻すと……。
ご隠居宅で、八五郎が屏風を見て、
「シイタケの親方みてェな帽子かぶって、
虎の皮のモモヒキ履いて突っ立ってる
あれは誰です」と尋ねる。
それが前段、道灌の「山吹の里」の逸話で、
娘が後拾遺和歌集にある兼明親王の
「七重八重 花は咲けども 山吹の
実のひとつだに なきぞ悲しき」という歌に
実際山吹を添えた振る舞いから、
道灌が「余はまだ歌道に暗い」と嘆き、
以後励んで、歌人としても高名になった、
とご隠居が説明をする。
当然落語なので、八五郎はそれをなぞって
しくじるわけである。ネタバレは控えつつも、
この咄の良きところを素人なりに解けば。
行政者が、まず庶民の生活の厳しさを知り、
〈パンがないならお菓子を食べれば〉とは言わず、
自らの足らない部分を省みるのは、
現代の我が国の政治家……特に与党の議員と
まさに重なるわけである。
傘ならぬ家賃すら払えない庶民の窮状を察し、
次々とスピーディーな対応を施すことに専心!
人生百年時代に、公務員の定年引き上げといった
重要案件があることは重々知った上で、
それでも市井のことを慮って細やかな助成支援に
全精力を傾けてくれるセイジカの皆様に、
道灌の姿を見て、120%の同感を!!
ちょいとめーに根多割れはしねえと言っときながら
前言撤回しちまうと『道灌』のさげは、
「カドが暗ェから、提灯借りに来た」である。
……野暮ながら、歌道と角が掛かってます。
大分、提灯が過ぎたかしらん。
奇しくもコロナで生活習慣も変える云々きくけれど、
日本の政治も「角」が来ているようで……。
初高座のネタは『道灌』であった。
江戸城を造ったことで知られる
武将・太田道灌が急な雨に遭い、
簑笠でも借りようとあばら家に寄る。
と、娘が出てきて、貸す簑すらないと
和歌に託して謝るという逸話を
基とした長屋咄が『道灌』なのだが、
私の住む豊島区内の面影橋近くに碑。
ただ「その地」と謂われる場所は
他にも埼玉県越生町などにある。
道灌は、我が故郷の川崎にも伝説を残す。
川崎市幸区にある夢見ヶ崎という地名は、
彼が築城の候補と決め、野営した時に
一羽の白鷲が兜を掴み飛び去るという
不吉な夢を見て断念したことに由来する。
城に適した小高い岡は今は小さな動物公園。
近くの南加瀬に親戚がいて、何度も訪れた
個人的にも思い出深い場所だ。
再び落語の『道灌』に話を戻すと……。
ご隠居宅で、八五郎が屏風を見て、
「シイタケの親方みてェな帽子かぶって、
虎の皮のモモヒキ履いて突っ立ってる
あれは誰です」と尋ねる。
それが前段、道灌の「山吹の里」の逸話で、
娘が後拾遺和歌集にある兼明親王の
「七重八重 花は咲けども 山吹の
実のひとつだに なきぞ悲しき」という歌に
実際山吹を添えた振る舞いから、
道灌が「余はまだ歌道に暗い」と嘆き、
以後励んで、歌人としても高名になった、
とご隠居が説明をする。
当然落語なので、八五郎はそれをなぞって
しくじるわけである。ネタバレは控えつつも、
この咄の良きところを素人なりに解けば。
行政者が、まず庶民の生活の厳しさを知り、
〈パンがないならお菓子を食べれば〉とは言わず、
自らの足らない部分を省みるのは、
現代の我が国の政治家……特に与党の議員と
まさに重なるわけである。
傘ならぬ家賃すら払えない庶民の窮状を察し、
次々とスピーディーな対応を施すことに専心!
人生百年時代に、公務員の定年引き上げといった
重要案件があることは重々知った上で、
それでも市井のことを慮って細やかな助成支援に
全精力を傾けてくれるセイジカの皆様に、
道灌の姿を見て、120%の同感を!!
ちょいとめーに根多割れはしねえと言っときながら
前言撤回しちまうと『道灌』のさげは、
「カドが暗ェから、提灯借りに来た」である。
……野暮ながら、歌道と角が掛かってます。
大分、提灯が過ぎたかしらん。
奇しくもコロナで生活習慣も変える云々きくけれど、
日本の政治も「角」が来ているようで……。