最近 図書館から借りてくる本の大半は 「大活字本」に なってしまっている。
小説等を 読みたいと思っても 視力低下の爺さん、細かい字を目で追っていく気力、忍耐力が無くなっており 目は疲れ、肩が凝ってしまい 途中で 投げ出してしまい勝ち。
「大活字本」だと それがなく ページを捲るスピード感につられて 一気に読み通せるような気がする。
「大活字本(大活字版)(大活字図書)」とは 弱視者(低視力者、高齢者等)にも読みやすいように 文字の大きさや行間等を調節して 大きな活字で組み直した本のこと。当然 分冊になったり 値段も割高になるため 主に 障害者や高齢者向けの施設や 公共の図書館等に 所蔵される類なのだと思う。

半村 良 著 「江戸打入り」(上)(下)、 (大活字本)

「討入り」 ではなくて 「打入り」 ?
たまたま 目に付き 借りてきた本、
それが 読み応えの有る作品だった。
(目次)、三河の風、浅黄の隊列、富士の白雪、棕櫚と舟橋、江尻馬揃え、関白御成橋、茶屋と禅僧、小田原の春、虎口の番人、疑惑の総攻撃、江戸打入り、
三河の岡崎の北にある足助の在で たびたびの戦で父や兄5人を亡くし 5人の後家と暮らし、没落した家の跡取りとなってしまった鈴木金七郎が物語の主人公。
秀吉の小田原城北条攻めに際して 家を残すため生きながらえるように 血筋の計らいで 侍としてではなく 敢えて 危険の少ない小駄荷等という雑兵として従軍。
遠州、駿河、箱根・・・、下働きに徹しながらも ことある毎に その働きぶりや手腕が認められて はからずも 次第に取り立てられてゆく。
小田原城北条攻めの後 関白秀吉に 国替え、関東移封を命じられた徳川家康に従い 新天地江戸に入る。
徳川勢が江戸入りしたのは 1590年(天正18年)8月1日(八朔)とされているが 確証はないという。
歴史時代小説の多くは 武将や剣豪、ヒーローを中心とした物語だが 三河の農村の一雑兵が 次第に戦いに巻き込まれて行き ついには 江戸に移り住み 江戸っ子のはしりになっていく物語。
三河から家族を江戸に呼び寄せるところで 物語は終わっている。
随所の詳細な時代考証にも 目から鱗。
終始 会話が 三河地方の方言で表現されていることも 雑兵の視点に立った物語であることを印象付けている。