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藤原緋沙子著 「風蘭」

2024年09月20日 17時56分56秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「風蘭(ふうらん)」(廣済堂文庫)を、読み終えた。
本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第10弾の作品で、「第一話 羽根の実」「第二話 龍の涙」「第三話 紅紐」「第四話 雨の萩」の連作短編4篇が収録されている。
「隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせ)に雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろう)が、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


「第一話 羽根の実」
▢主な登場人物
 おまき・新蔵、
 伊佐次(岡っ引き、伊佐の旦那
 直蔵(出会茶屋小松屋奉公人)、お久(出会茶屋小松屋女中
 政之助(庭木職人)・おみつ、源八、
 野瀬修理(無役旗本)、清松(渡り中間
 松波孫一郎(北町奉行所吟味方与力

▢あらすじ等
 駆け込み寺慶光寺で修行中のおまきが外出したまま帰らず、元の亭主新蔵殺しの疑いで
 捕縛された。

 外出禁止規則を破って外出させた寺役人近藤金五の責任は重大、免職の危機に立たされるが、
 十四郎、藤七等が懸命に、事件の真相、謎を解いて行き、ついに・・・。
   「おのれ」、修理が顔をひきつらせた時、
   「金五、そこまでだ。鶴の羽が見つかったぞ」
   清松は 雑木林を抜けると、門に走った。
   「待て」、修理も刀をぶらさげたまま、表に飛び出し、立ちすくんだ。
   火事羽織、野袴、陣笠を被った松波孫一郎が配下の同心、小者を従えて待ち受けて
   いたのだった。


「第二話 龍の涙」
▢主な登場人物
 お楽・辰造(石工)・おひろ、おきの、
 山城屋宗兵衛(太物商)、嘉助、
 お稲、弥兵衛(鬼火小僧)、お朝、
 松島大膳(旗本)、櫻痴(おうち、松島大膳の隠居)、
 松波孫一郎(北町奉行所吟味方与力)、

▢あらすじ等
 3年前に、前妻と娘を亡くしていた石工の辰造と世帯を持ったお楽だったが、
 夫婦の愛情等最初から無かったと、慶光寺に駆け込んできた。
 二人の馴れ初めを語るお楽、十四郎は笑うに笑えず、お楽の顔を見た。
 辰蔵の身の振り方に不審?、十四郎、藤七等が探索していくと、そこに見えてきたものは・・・。

 盗賊鬼火小僧の陰?、病的異常な数寄屋老人の陰が・・・・。
   「旦那、・・・よくわかりました。あっしが馬鹿でございやした」
   辰蔵は頭を下げた。


「第三話 紅紐」
▢主な登場人物
 おとよ、勝三、おあい、お吟、平助、
 留吉、与助、伊助、
 佐々木恭之助、政蔵、染次、
 庄兵衛、柳庵、
▢あらすじ等
 元結城屋の女房おとよは、不実な夫勝三と離縁、慶光寺を出た後、組紐師として懸命に
 暮らしていたが・・・・。結城屋は潰れ・・・。
 結城屋を潰したのはおとよのせいと決めつけていた義母お吟に対して・・・。
 一方で、佐々木恭之助に騙されて落ちるとことろまで落ちた勝三は、命を狙われ、
 おとよは人質に・・・・。最早これまでか。
   目を醒まして、男としてけじめをつけておくれ・・・」
   厳しい口調で、お吟は、勝三に迫った。
   十四郎は、静かに声をかけた。
   「お前は、お吟の子ではないか。お吟が育てた息子なら、もう駄目だなどという言葉は
   ない筈だと俺は思うぞ」

 
「第四話 雨の萩」
▢主な登場人物
 お妙・七之助・おたつ、お光、
 美樹・勇也・初音・
 芦沢伊三郎、猫目の玄蔵、為五郎、
 佐吉(呉服屋加賀屋手代
▢あらすじ等
 元仏具屋勝田屋の七之助と離縁し、慶光寺を出て普通の暮らしに戻っていたはずのお妙が、
 生きていく希望を失い、まさかの火付けの罪で捕縛され・・・。
 火付けは、重罪。お妙を救えなかったことに失意、消沈するお登勢、
 一方で、十四郎と清楚で儚げな未亡人美樹との関係は?、
 千々に乱れるお登勢の心・・・。
 十四郎との間に隙間風が吹き荒れ、孤独感に苛まれるお登勢、
 二人に最大の危機が?。

  「おっ、萩が咲いたか」
  「この萩は、俺が植えたのだ」
  お登勢はびっくりした目をしてみせたが、「うそ、うそ、、知りません」、
  すぐに咎めるような声を上げるとそこにしゃがみこんだ。
  だがその声音にも白い襟足にも、隠し切れない喜びが溢れていた。


「隅田川御用帳」ゆかりの地図

本書で初めて、「隅田川御用帳」ゆかりの地図が、巻頭で紹介されており、
地図で位置や方角を確認しながら、物語の展開を、楽しめるようになった。






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