1995年8月 ……文春文庫
「南東アラスカの海を旅し、ザトウクジラの親仔を見て、子を失くした
友人O のことを想った」り、「ルース氷河に来ている。そこにどこから
か迷い込んだか狼の足跡が……誰にも話したことがない」たりする。
雪深い中をクマの発信機を付け替えに行く。小さな巣穴で春を待ってい
るクマに睡眠銃を撃って眠らせて、つけかえるときに、毛皮を撫でて、
元に戻す。
そんな事柄が、清潔な簡潔な文章でもって、鮮烈に描かれてゆく。
星野さんは96年にクマに襲われて亡くなっている。惜しい人を亡く
して、二十年になる……。
「南東アラスカの海を旅し、ザトウクジラの親仔を見て、子を失くした
友人O のことを想った」り、「ルース氷河に来ている。そこにどこから
か迷い込んだか狼の足跡が……誰にも話したことがない」たりする。
雪深い中をクマの発信機を付け替えに行く。小さな巣穴で春を待ってい
るクマに睡眠銃を撃って眠らせて、つけかえるときに、毛皮を撫でて、
元に戻す。
そんな事柄が、清潔な簡潔な文章でもって、鮮烈に描かれてゆく。
星野さんは96年にクマに襲われて亡くなっている。惜しい人を亡く
して、二十年になる……。