新潮文庫 1997年
約十五年前に古本で買って、始まりを読んではやめ、読んでは
やめていた。てっきりスパイ小説だと思っていた。プロジェク
ションをプロダクションだとどこかで思っていた節があって、
いい加減なもんである。
どんどん読んでいるとハマってしまい、中盤からの引き込まれ
方はスゴかった、一気読みであった。
「多重人格」か「妄想」、「錯誤」か、実は高踏塾なるスパイ活
動する団体など、このヌマタという男のつくりごとで、すべては
錯誤。
夢のように思っている人生を哀しいかというと、本人にとっては
それはそれで幸せなのではないだろうか。一見、よその人からみ
たら可哀想で不幸でも、本人が信じているのだから、それはひと
つの世界ではあるよな、と感じる夕暮れであった。…………合掌。
(鶴岡卓哉)
約十五年前に古本で買って、始まりを読んではやめ、読んでは
やめていた。てっきりスパイ小説だと思っていた。プロジェク
ションをプロダクションだとどこかで思っていた節があって、
いい加減なもんである。
どんどん読んでいるとハマってしまい、中盤からの引き込まれ
方はスゴかった、一気読みであった。
「多重人格」か「妄想」、「錯誤」か、実は高踏塾なるスパイ活
動する団体など、このヌマタという男のつくりごとで、すべては
錯誤。
夢のように思っている人生を哀しいかというと、本人にとっては
それはそれで幸せなのではないだろうか。一見、よその人からみ
たら可哀想で不幸でも、本人が信じているのだから、それはひと
つの世界ではあるよな、と感じる夕暮れであった。…………合掌。
(鶴岡卓哉)