幸福論 ・希木谷 瞬吉
僕の単純が時に自身を切り刻み
ゲラゲラと笑うヤツらの笑い声が僕の耳に
僕はそれを聞きたくなくて逃げ出すように走り出す
遠くへ遠くへと
ゲラゲラとヤツらは笑いながら追い掛けてきて
僕をゲラゲラと笑いながら捕まえ殴打する
それに抗うこともできないまま
僕は血塗れになって行く
全身が内出血で赤黒くなり
ヤツらはゲラゲラ笑いながら僕を人食いワニのいる川に突き落とす
僕は必死で泳ぎながら岸にたどり着くと
ヤツらはまたゲラゲラ笑いながら僕を蹴落とす
僕は悟る、ヤツらから逃げる方法なんてないんだ
僕はワニに食われ、最後の肉片になるまで
幸福になることなんてないんだって