双葉文庫 1998年
おもしろいけど、字ちっさいなあ、と思いつつ
気づいたら読み終えていた。
ボクは、香港を舞台にした短編、聖母と胃袋、が
シャコ、うまそうなものを大量に際限なく喰らっ
てゆく。その様はあさましく、貪欲に生きたらも
さんをおもわせる。最後はツッコミを入れてくる、
痩せた男まで喰ってしまう。うーん、こういう小
説ってあるようで、ないんだよねえ、なんか、生
命力にあふれていて、文体からもこぼれ落ちそう
なくらいの油ギトギトの指がにゅっと出てきそう
な感じ。まったくでぶにはたまらない小説だ。
2004年に死にはったが、その破天荒な生き方は
誰にもまねできないだろう、いや、いま、こんな
ような人はでてこないだろうね……合掌。